総合食品卸、日本アクセス北海道(本社・札幌市東区)の取引先などでつくる「北海道アクセス会」は、2023年11月30日、札幌市中央区の札幌パークホテルで「2023年度北海道アクセス会フォーラム」を開催した。同会の会員ら約250人が出席した。(写真は、2023年度北海道アクセス会フォーラムで講演する梨田昌孝氏)
冒頭、北海道アクセス会会長の藤井幸一サンマルコ食品社長が登壇。藤井氏は、「円安やエネルギー価格上昇によって商品の値上げが続いているが、値上げが必要な商品の半分程度しか(値上げが)できていないのが実情。また、人手不足も大きな課題。特に新卒は3年で退社するケースが多い。企業防衛として若手を育成する前に、経営陣も成長しなければならない時代にきている」などと挨拶した。
(写真は、挨拶をする北海道アクセス会の藤井幸一会長)
(写真は、事業報告をする日本アクセス北海道の黒沢忠寿社長)
続いて、日本アクセス北海道の黒沢忠寿社長が事業報告を行い、2023年度上期(3月~9月、「収益認識に関する会計基準」の適用前の数値)の概況を示した。それによると、売上高は520億7800万円で前年上期比5・9%増だった。黒沢氏は、「値上げによる単価の上昇に加え、夏場の記録的猛暑によるアイスの増加などが重なり、上期は好調な結果となった。しかし、多くの商品が値上げとなり、低価格志向の中で買い上げ点数の減少に繋がっており、今後は数量対策が必要だ」と述べた。
カテゴリー別売上高は、家庭用ドライ75億1800万円(前年上期比7・0%増)、家庭用乳製品44億9300万円(同0・5%増)、業務用食品20億2400万円(同12・5%増)、生鮮食品9億3500万円(同3・4%増)、和日配79億8100万円(同3・2%増)、洋日配98億3600万円(同4・1%増)、アイス52億2600万円(同18・0%増)、冷食68億4200万円(同6・9%増)、デリカ62億4300万円(同・13・0%増)だった。
黒沢氏は、「全カテゴリーで昨年対比で上回ったが、特に好調だったのは、業務用食品とアイス、デリカ。業務用食品は行動規制がなくなり、人流が回復したことなどが要因。アイスは7、8月の猛暑で好調に推移した。デリカは、共働き世帯や世帯構成の変化、ライフスタイルの変化もあって、継続的な伸長が続いている。冷食についても、火を使わずに調理できる利便性や売り場のトレンドに合わせて拡大している」と話した。
業態別売上高は、リージョナルチェーン234億7200万円(同6・9%増)、ナショナルチェーン98億9200万円(同7・6%増)、ドラッグストア64億8800万円(同8・9%増)、CVS43億600万円(同5・5%増)、外食・加工31億1200万円(同9・8%増)、卸売業37億8300万円(同5・2%減)、その他6300万円(同19・1%減)となった。なお、上期の利益も昨年上期を上回った。
続いて講演に移り、プロ野球解説者で元日本ハムファイターズ監督の梨田昌孝氏が、『自己と組織の育成法:梨田流コミュニケーション術』と題して90分間話した。梨田氏は、島根県立浜田高校で春夏甲子園を経験、近鉄にドラフト2位で入団したが、身体が固くて打率も伸びず悩んだことに言及。「北新地のスナックでヘネシーのボトルを逆さにしながら遊んでいた時に、この腕の動きを打ち方に利用できるのではと直感的に思った。飲むのを切り上げて藤井寺に戻り、深夜、一人でヘネシーボトルを逆さにした感触を思い出しながらバットを振った。それがコンニャク打法の原点だった」と述べ、現役時代の打率2割5部4厘、ホームラン118本に繋がったことを紹介した。梨田氏は「短所をプラスに考える発想が必要」と強調した。
また、日ハム監督時代に、糸井嘉男選手がサインを理解しなかったことに触れ、「コーチ陣の間で2軍に行かせることが決まりかけた時、私は彼を外国人選手だと思って、サインを極力出さないようにしようと話した。サインを出さなくなった途端、彼は6年連続3割でWBCにも出場した。良いところを引き出すのが上司の役割」と会場に呼び掛けていた。