トライアルカンパニー(本社・福岡市東区)が、北海道で出店ペースを早めている。道内のスーパーマーケットの新規出店が抑制気味の中、トライアルカンパニーの勢いが目立つ。数年内に地域シェアの変化をもたらしそうだ。(写真は、「スーパーセンタートライアル幕別店」)
トライアルカンパニーが展開するディスカウントストアは、今年だけでも3店舗が新規オープンする予定だ。いずれも新設の店舗で、十勝圏、北見圏では2店舗体制を構築、地域の価格競争を一段と強めることになりそう。北海道現象と言われるように、これまでは、アークスやツルハ、ニトリ、DCMのように北海道の流通企業が本州に南下することが多かったが、トライアルの場合は九州から北上する珍しいケース。
元々、カウボーイの店舗承継で北海道に進出してきたトライアルは、当初こそ北海道市場を攻めあぐねていたが、2014年4月の消費増税以降のディスカウントニーズを取り込もうと一挙に7店舗出店を実施、道内市場での存在感を高めた。しかし、多店舗展開の弊害とも言える個店の競争力低下で、勢いは再び減衰。そうした弊害をクリアして、イメージを変えたのが2019年10月、札幌・月寒の複合商業施設「ブランチ札幌月寒」内への出店だった。
新設商業施設内の核店舗として出店することは、ディスカウントを標榜するトライアルにとっては冒険だった。そんな冒険を乗り切ったトライアルは、新設、居抜きの両様で出店を重ねる。「イトーヨーカドー旭川店」跡への出店は、大箱を抱える大家の選択肢が増やした。
道内の店舗数は、まもなく28店舗になり、北雄ラッキーの27店舗(衣料専門店除く)を超え、ダイイチの22店舗を引き離す。トライアルは、食品・雑貨以外にも家電やカー用品、ドラッグなどを揃えており、道内売上高は400億円を軽く超えるとみられる。スーパーマーケットとしては、アークス、イオン北海道、コープさっぽろの3強に次ぐ存在。2024年年明けには札幌・琴似、秋口には室蘭での出店が決まっているほか、道内のあちこちで土地取得や出店の情報が出ている。道内スーパーマーケット市場の九州現象とも言えるトライアル旋風は、道内業界を激しく揺らしそうだ。