コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は、グループ会社のトドック電力(本社・札幌市中央区)を通じて、太陽光発電所で発電した電力を全108店舗に供給する。このため、コープさっぽろは全道200ヵ所に太陽光発電所を建設、2024年度中に全店舗で消費する電力のうち14%(約19GWh/年)を自前化する。電力料金削減効果として年間2億円を見込む。(写真は、自己託送による全店舗への再エネ電力供給の記者会見。右からトドック電力・尾﨑信介社長、コープさっぽろ・大見英明理事長、伊藤忠エネクス・田中文弥執行役員電力・ユーテリティ部門長、H.Eエナジー・瀬尾浩史代表取締役)
コープさっぽろは、2008年の北海道洞爺湖サミット開催を契機に、再生エネルギーを中心とした、地産地消のエネルギー活用を目指してきた。2018年には「再エネ証書」の購入で再エネ活用を始め、2021年12月からは全店舗で使用する電力の100%再エネ化を実現している。更に再エネ活用の実効性を高めるためには、「再エネ証書」購入に頼らない再エネの自前化が不可欠と判断、太陽光発電所を建設することにした。
建設場所は、北見エリアや夕張エリア、伊達エリア、函館エリアなど全道200ヵ所で、すでに土地購入を開始している。雑種地や耕作放棄地など、森林伐採が必要のない土地を中心に購入する。1ヵ所の平均敷地面積は約1000坪(約3000㎡)、平均発電容量は100KWh。太陽光パネルは、中国のトリナ・ソーラー社製を使用する。土地取得から、太陽光発電の建設まではH.Eエナジー(札幌本社・札幌市中央区)が行う。
2023年度中に、まず60ヵ所の太陽光発電所を稼働させ、残り140ヵ所は2024年度中に稼働させる。土地代を含めた総投資額は37億円。コープさっぽろが土地、設備を所有、トドック電力が運用を行い、伊藤忠エネクス(本社・東京都千代田区)がエネルギーサービス全般をサポートする。
発電した電力は、北海道電力ネットワーク(本社・札幌市中央区)を通じて、「自己託送」と呼ばれる送電方式を利用して店舗に供給する。200ヵ所の全稼働により、全108店舗の電力使用量の14・13%に当たる年間19GWhを自前化できる。各店舗の電力使用ピーク時を中心に「自己託送」し、他の約86%は従来通り、王子・伊藤忠エネクス電力販売(本社・東京都千代田区)の再エネを使用する。
コープさっぽろの大見英明理事長は、「食もエネルギーも地産地消でどこまで自己完結できるかについて引き続き努力したい。今回の取り組みを通して、環境問題、とりわけCO2削減の一助になればと思う」と話した。コープさっぽろでは、風力発電や地熱発電の利用も検討していく。