アークスグループの中核会社ラルズ(本社・札幌市)を横山清会長(77)とともに二人三脚で成長させてきた齋藤弘副会長(70)が5月14日付で非常勤の相談役に退く。横山―齋藤のコンビは46年間に亘って続き、ラルズを道内トップクラスの食品スーパーに育てあげた原動力となった。斉藤氏の退任でラルズのひとつの時代が終わることになる。(写真は、2013年6月26日に行われたCGC烏柵舞の森記念植樹での齋藤弘氏)
齋藤氏は、1967年4月に大丸スーパーに入社し、2001年5月ラルズ取締役副社長営業本部長、03年5月代表取締役副社長、07年5月に社長に就任し12年5月に代表取締役副会長、今年3月1日付で代表権のない副会長に就いていた。齋藤氏は北大水産学部卒で、横山清アークス社長(ラルズ会長を兼務)と同窓。
大丸スーパーは89年にコーセーを買収、同年金市舘と合併してラルズに社名変更、その後はイチワや三島、角幡商店など相次いで買収したり店舗取得するなどしたが、横山社長(当時)のもとで営業の一線を指揮、アークス誕生の布石を作った。
齋藤氏は、ラルズ副会長を退任するとともに兼務していた道南ラルズ、道東ラルズの代表取締役副会長も5月14日付で、アークスの取締役執行役員は同月23日付でいずれも退任する。
齋藤氏は、北海道リアルEconomy記者にこれまでの食品スーパー人生を振り返ってこう語った。(語りの部分は元号を使用)
「昭和42年に大丸スーパーに入社した時は、年商が2億7000万円で経常利益も300万円程度だった。同55年に年商は15億円になり同60年に共同仕入れ会社のシージーシー(現北海道シジシー)に入って、ようやくまともな会社になった」
「同63年ころから売上高経常利益率が3%を超えるようになった。平成に入って、6年に新しい業態の『ビッグハウス』をスタートし、7年にイチワ買収、9年に三島の買収、10年に角幡商店の5店舗取得などM&Aを矢継ぎ早に行ったが、うまく回転していったことが印象に残っている。横山社長は、店長などの人事については任せてくれた」
「46年間、食品スーパーに携わってきて悔いのない幸せな人生だったと思う。70歳を区切りに身を退くことは以前から考えていたこと。現在の『あらた』の前身、ダイカの元社長が潔く進退を決めたことが常に念頭にあった。私はオーナーではないので引き際が大事だと考えていたこともある」
「今後、どうするかはよく考えてみたい」
ラルズは昨年5月に守屋澄夫専務(65)が社長に就任、道南ラルズ社長には今年5月14日付で土手光三専務(55)が就任する。両氏とも齋藤氏の下で営業の一線を取り仕切ってきたラルズ第二世代とも言える。齋藤氏の退任はラルズのひとつの時代が終わることを示している。