人口3000人の日本で一番小さな市である歌志内市に、スーパーマーケットが新規オープンした。4月15日にオープンした、道北アークス(本社・旭川市)が運営する「Da・マルシェ歌志内店」(文殊228番地)がそれ。同市内で最後のスーパーマーケットが閉店してから14年、買い物が困難だった市に、住民待望の店舗が復活した。(写真は、「Da・マルシェ」のオープンセレモニー。左から2人目が柴田一孔・歌志内市長、3人目が道北アークス・六車亮社長)
「Da・マルシェ」は、道北アークスが人口3000人程度の町を対象に展開している小型スーパーマーケット。魚、肉、野菜の生鮮食品のほか日配品、惣菜など約7000SKU(在庫保管単位)を扱い、2015年5月に開店した「愛別店」(上川郡愛別町)が1号店。現在は「上川店」(同郡上川町)、「比布店」(同郡比布町)、「沼田店」(雨竜郡沼田町)、「中富良野店」(空知郡中富良野町)の6店舗を展開しており、「歌志内店」は7店舗目。
小型スーパーマーケットは、売り上げ規模が多くないため、継続するのが難しい業態だが、同社は空き店舗などを利用して投資負担を抑え、旭川市にある同社のプロセスセンターで生産した生鮮加工品や惣菜類を搬送、店内加工を行わないことで運営コストを下げ、持続性のあるモデルに仕上げた。1店舗当たり約2億円の売り上げで採算に合うという。
(写真は、精肉コーナー)
(写真は、冷凍食品コーナー)
今回オープンした「歌志内店」は、市が建物を約4億円で建設、道北アークスが一定程度の賃料を払って賃借する出店形態。市は、2015年から道北アークスと空き店舗を利用した出店を協議してきたが、適切な出店場所が見つからず、一時は棚上げとなった。現在の柴田一孔(かずのり)市長が誕生した2020年10月以降、急展開。旧文殊会館跡地に、市が4億円で「Da・マルシェ」と地域交流施設を併設した建物を建設した。
この日、オープン前に行われたセレモニーで、柴田市長は「本市のように人口の少ない町では、生活インフラの3要素である医療、食、住まいについて行政が関わっていかなければならない時代に突入したと思っているので、食に関して公設民営方式を取ることを決断した。買い物の不便さが市外転出の大きな理由だったが、お年寄りの方を中心に買い物の利便性が高まる。地域交流施設も併設しており、市民が交流し、賑わうことで活力が生まれ、町の活性化に繋がるものと期待している」と挨拶した。
道北アークスの六車亮社長は、「目で確かめて生鮮食品を買いたいというお客さまのニーズはなくならない。今回の店舗は、生鮮食品と日配品が半分以上を占める。今後は、地域の要望をお聞きして品揃えを変えていきたい」と話した。
「Da・マルシェ歌志内店」の店舗面積は約141坪(495㎡)、店内には100円均一ショップ「Watts(ワッツ)」コーナーを併設。営業時間は10時から19時。店舗は、道道赤平奈井江線沿いにあり、店舗前には6棟の市営住宅が並んでいる。店舗の外観塗装は、市営住宅の塗装と同じにしており、景観にも配慮。「歌志内はきれいな街だし、店も近くにあるから住もうかなという気持ちになっていただけたらな、と思う」(柴田市長)と語っていた。
(写真は、惣菜コーナー)
(支払いセルフレジ3台で対応=写真)