2023年が明けた。コロナは4年目に入り、ウクライナ問題、インフレ、SDGsなど、さまざまな課題が逆相乗効果を引き起こす状況が今年も続く。荒波の中で、希望の羅針盤となるのが、先達の時代を読む眼だ。食品スーパー、アークス(本社・札幌市中央区)の横山清社長(87)は、食品スーパーという生活に密着した業界に60有余年身を置きながら経済の変化を直に経験してきた。横山社長が読み解く2023年とは、どんな1年なのか。インタビュー3回目を掲載する。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

(写真は、アークス・横山清社長)

「今、どこでも一人当たりの生産性がどうだと言っている。究極の到達点は、無人のスーパーだったり、無人のサービス業だったりする。人手不足もあってラーメン屋でもレストランでも、配膳ロボットが活躍しているが、来店した人は『すごいね』と言うけれど、私はね、少々高くても、熱々のラーメンを人が持ってきてくれる方が好きだ」

「便利なことをすべて体験してしまうと、不便な方がいいという感覚が出てくることも確かだ。人は、そういうことをどこかで求めている。ネット注文は、スピードが早いことを皆競い合っていて、頼んだら20分以内に届けるなどと言っている。料理を頼んで、1時間経っても届かないなら2度と頼まないと言っても、食べてみたら、『遅くても、やっぱりこれだよね』という気持ちになることもある。私は、こちらの生活の方が、ある意味で幸福なのではないかと思う。そんな経験をしたことがない子どもたちが、ある機会にそのことを経験したら、『これがいいじゃないの』という気持ちが生まれてくるのではないか」

「ボタン一つ押したらすぐに注文したものが届く世の中だが、こうした電子的なものはある意味で、昔の御用聞きであり、電話注文と同じだ。手段として電子的に簡単で早くなってきただけのこと。ボタンを押して頼んだ料理を家で食べることもいいが、人が集まってがやがやとしているところで食べることも、また楽しいものだ。そんなことを考えると、人間の本質的なものは、そう変わらないと思う」

「ネットスーパーや無人スーパーが未来の小売業の在り方という見方もあるが、私はリアルな店舗は存在し続けると確信している。店舗が10億円の売り上げがあって、ネット注文で同じような売り上げになっても、リアル店舗はショールーム、ストックヤードの機能を持って存在し続けると思う。あのアマゾンでさえ、食品スーパーのリアル店舗を展開しようとしている。あれほど、世界を股に掛けて商売をしている企業でも、リアル店舗がなければだめだと、彼らが一番早く感じているからだろう。アマゾンは一部リアル店舗を閉鎖しているが食品雑貨については閉鎖対象となっていない。ともあれ、ネットとリアルを含めた、人間の本質的なものに訴求するような新価格体系をしっかりと備えながら展開を図っていきたい」

「アークスグループが年商1兆円体制を目指していることに、変わりはない。足し算をしても経営は安泰ではないことを先に述べたが、1兆円を目指した足し算は当社にとって必要なものだ。いろんな見方があるが、SM(食品スーパー)とGMS(総合スーパー)の市場規模は、年間18兆円。そのうちの1兆円だが、私たちが基盤とする北関東以北のマーケットで見ると実体的には2兆円規模に相当する。物流面のコスト競争は今後も厳しくなってくることを考えれば、北関東以北での1兆円が一つの到達点になるのではないか。コストと各地域の食文化を深掘りする均衡点が、おおよそ1兆円のパイではないかと考えている」

「2023年の北海道のスーパー市場を展望すると、頑張っている者同士が、もう一回手を組むことがあり得ると思っている。あまり考えたくないが、まさかあそこがというようなアクシデントが起こるかもしれない」(終わり、構成・本サイト)


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