ーー食品の値上げが相次いでいます。
北野 業界全体が値上げラッシュに見舞われているので、それに逆らうことはできないですが、お客さまには「卸値が上がったから単純に販売価格も上げます」では通用しないので、CGC商品(全国的なスーパーマーケット共同仕入れ機構)や三社同盟(アークス、バローHD、リテールパートナーズで組織する新日本スーパーマーケット同盟)の留め型商品(特定のスーパー向けに販売する商品)など、独自性のある安くて品質が良く、他では買えないものをアピールしていきます。利益を確保するためには、こうした時期こそさまざまな技術が必要になってきます。値段を安くして無理をしたら売れるかもしれませんが、利益は残りません。ロスを出さずにコストを下げるには、熟練した販売の技術が必要です。生鮮やデリカには見せ方や美味しさなど、手に取ってもらう工夫も必要。そういったことにより磨きをかけていくことが大切です。私は、決め手になるものはないと思っています。日々の積み重ねでしか、結果は出ないということです。
ーーホームセンターに15年間在籍して得たノウハウは、食品スーパーの現場に生きますか。
北野 カインズのPB(プライベートブランド)商品は、他のチェーン店にはない商品なので、そこでしか買えない宝だと言えます。PBの品質、デザイン性も上がり、機能面も優秀です。自信をもって売れるPB商品は強いですから、CGCのPB商品も他との違いをアピールして積極的に販売していきたい。繰り返しになりますが、店舗は生き物なので、日々の積み重ねがなければ利益は増えていきません。お客さまが明日また来てくれる保証は何もありません。繰り返し来てもらうために、カード戦略などに取り組んでいますが、接客や商品力が最大の決め手です。日々、怠りなく続けていくことが大切です。
ーー惣菜などセンター化についての考えは。
北野 デリカ工場で、寿司、弁当を製造して各店舗に配送していますが、惣菜商品の多くは店舗のバックヤードでインストア商品化しています。それは鮮度などを含めて強みでもありますが、人手不足でもあるので、どこまでセンターで商品化するのか、見極めが必要になります。実現するかどうか分かりませんが、食肉を扱うミートパッケージセンターで、スライス商品や鶏肉の盛り付けなどについては考えていきたい。全14店舗なので、そんなに大きなセンターでなくても間に合いますから。ドライ商品については共配の導入を検討しています。グループ各社では共配を導入しているので、配送コスト低減の意味からも来年度に計画を進めたい。
ーー外国人技能実習生も雇用していますね。
北野 ミャンマーの外国人技能実習生は現在33人で、9月にはコロナ禍前に決まっていた11人が来ます。店舗バックヤードで惣菜、水産の実習をしています。
ーー北野新社長が掲げるスローガンは。
北野 道東アークスは、ラルズが子会社化した旧イチワの社員のほか、旧篠原商店の社員、店舗交換で旧三島や福原の社員たちも転籍してきています。出身の違う社員が一つになったのが当社です。篠原(肇)取締役相談役が社長を務めていた当時は、内部の意思統一に力を注がれ、社員教育にも力を入れられました。道東アークスの基盤固めをしてこられた。私は、こうしてつくっていただいたベースの上に、店舗運営や店づくり、センター構築、共配など営業体制をしっかりと構築していきたい。
ーー店舗の展開地域を広げていくことは。
北野 新しい地域に出店していくことは考えにありますが、私たちが出店していない周辺の町にも競合店があります。簡単なことではないが検討する余地はあると思います。
ーー小型店の展開はどう考えていますか。
北野 道北アークスはTC(通過型物流センター)とPC(プロセスセンター)の機能を持つセンターから供給を受け、少人数での店舗運営を可能にした小型店「ダ・マルシェ」を展開していますが、私たちの地域でも、あのような小型店が必要になってくると思います。食品が充実した小型店舗の運営コストを抑えられれば、チャンスはあると思う。
ーーありがとうございました。