道東アークス北野達志新社長インタビュー「日々の積み重ねで、商品力・接客力を磨く」

流通

 ーーエルディには何年間在籍されたのですか。

 北野 ちょうど15年間でした。食品スーパーには22年間在籍していましたから、久しぶり食品スーパーに戻ってきたことになります。
 
 ーー新社長の抱負は。
 
 北野 ずっとラルズにいたら見えてこなかったホームセンターの仕事やフランチャイズのこと、カインズのオペレーション力、商品力、開発力なども目の当たりにしました。エルディは、ビルメンテナンス、建築、清掃、警備、設備保守点検、保険代理店、旅行代理店、産業廃棄物の収集運搬業もやっています。産業廃棄物の収集運搬は取締役でなければ資格を取れないので、資格も取りました。そういう意味では、各業界がどう成り立っているのかという最低限の知識も得ました。これまで幅広く経験してきたことを店舗の運営に生かしていきたい。
 
 ーーこちらに来られて感じたことは。
 
 北野 札幌に長くいたので、地方の人口減少を如実に感じます。北見は人口約12万人ですが、競合店が多い。札幌のようにパイが沢山あるようなところとは違うので、対応方法を考えなければいけない。道東アークスは、店舗の歴史もあって北見と網走、斜里でしっかりとドミナントを形成しており、店舗数が一番多い。そうした強さを持っているので、地域に一番根差したスーパーであることは間違いない。ただ、歴史が古いからこそ、後発の競合に少しずつパイを侵食されているのも事実。業績は、過去5年間は200億円の売り上げを維持していますし、経常利益も3億円から4億円で安定している。増えはしないが、減りもしない状況です。ただ、このままでは間違いなくじり貧になることは必至です。当社は2013年に「スーパーアークス美幌店」を移転新築して以降、店舗の大きな改装や新規出店をしていない。

ーー地域でのシェアは。

北野 私たちが出店している北見、網走、斜里などの食品マーケットの規模は年間700億円で、そのうち200億円、シェアは約28%とみています。しばらくの期間、競合店は出店していませんでしたが、昨年に業務スーパーが1店舗出店しています。扱う商品が一般的な食品スーパーとは違いますが、影響がないわけではない。

ーー新店、リニューアルなど店舗戦略は。

北野 北見地区の店舗に関しては老朽化している店舗もあるので、全店舗をリニューアルしたいのが本音です。「ビッグハウス」の業態も「スーパーアークス」に統一した方がいいのではないかと思っています。

ーー来年度の予定は。

北野 来年度は最低でも1店舗のリニューアルを実施したい。基本的に、現在の店舗を閉めたくない。運営面で厳しい店舗はありますが、閉店すれば競合店が出店する可能性がありますし、地域のお客さまから愛されてきたお店を閉めることは、よほどでない限りしたくないですね。

ーー市場環境は。

北野 人口減少、少子高齢化に地方特有の人口流出とトリプルパンチの影響を受けています。買い物に行きたいけど、店舗に行くことができなくなったお客さまもいるので、その問題にどう対応していくのか、対策が必要になっています。一方で、店舗に来ていただいているお客さまには、競合に負けないような商品・サービスを提供しなくてはならない。生鮮品を含めた商品の鮮度、容量、見せ方、提案などさまざまな対策を取って固定客をより多く確保したい。リアルな店舗以外にEコマースも手掛けていかなければならないと思っています。アークスグループでは、ラルズがオンラインショップを手掛けており、軌道に乗ってきたと聞いているので、その事例を活用していきたい。デリバリーサービスについては今のところ考えていません。

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