日本最東端のショッピングセンター(SC)として根室西浜SC(根室市西浜町8丁目)がオープンして約1ヵ月、周辺の町から買い物客を呼び込め、地元客の流出も食い止められると好評価の一方で、外部資本の大型店出店で地元資本の店舗が打撃を受けると心配する声もある。人口2万9000人の根室市に出現した最東端SCは市の経済にプラスかマイナスか。(写真は、日本最東端の根室西浜ショッピングセンターに進出したケーズデンキ根室店とホーマック根室店)
日本最東端のSCがオープンしたのは、今年11月以降。まず1日に食品スーパー「ホクレンショップ」が先行オープンし、続いて8日にホームセンターの「ホーマック」、16日ドラッグの「サッポロドラッグストアー」、12月6日には家電量販店の「ケーズデンキ」がオープンし大型商業4施設が揃った。さらに年明けには専門店が開業する。
土地建物のデベロッパーは、三菱UFJリース(東京都千代田区)。4施設の売場総面積は約7500㎡。
根室市は人口2万9000人。しかも「盲腸の先」のような行き止まりのマチで交流人口も少ない。小商圏のマチに最新のSCがオープンしたことに地元からは「全国の他都市と同じような地元資本対外部資本の商業勢力図がついにこのマチにもやってきた。SCの到達点」(根室市の経済関係者)と捉えている。
このSCが根室市の経済にプラスになるのかマイナスになるのか、地元の評価はほぼ半々に分かれる。
プラス面を強調するのは、市の関係者。「市の消費者は、目的買いのためにはSCが整っている中標津町や別海町まで足を伸ばしていたが、今回のSCでこうしたコアな消費者の流出を止められ、地元経済にプラス。また、これまで別海町に買い物に行っていた浜中町や厚床地域の消費者を呼び込むことができる」と言う。
一方、地元資本への影響を懸念するのは経済関係者。「地元資本にとって外部の大手資本によるSCは、まさに黒船来襲。これを機に一層のコスト削減や社員教育等によって活力を付けられる企業とそうでない企業に分かれるのではないか」と語る。
注目されるのは、食品スーパーがイオン北海道、コープさっぽろ、マルシェ(生鮮市場グループ)にホクレンショップが参入し店舗間競争が激しくなること。イオン北海道は食品売場を「買って実感!毎日がお得な店」と銘打った低価格路線に変更しており、価格競争はさらに激化、地元商店や地元コンビニエンスストアは防戦せざるを得なくなりそう。さらに、家電量販では地元資本がFC(フランチャイズ)で出店しているベスト電器がケーズデンキにどのような対抗策を打ち出してくるかも注目される。
日本最東端のSCは、人口減と高齢化が進む根室市にとって活力となるのか地場資本の縮小に繋がるのか両刃の剣となりそうだ。