コンビニエンスストアの出店戦略が変化の兆しを見せている。北海道地盤のセイコーマートをはじめ全国展開しているセブンーイレブン、ローソン、サンクス、ファミリーマートがひしめく札幌市内では、セブンやローソンが300坪から600坪の敷地で駐車場を広く取った本州サイズの店舗展開を積極化している。コンビニ各社の出店コストは跳ね上がっており、各社の出店戦略に影響を与えそうだ。(写真は、駐車スペースが広いコンビニ)
コンビニは品揃えの充実でスーパーから客を取り込んだり、安価なプライベートブランド(PB)の充実によって各社の8月中間決算は前年中間期を上回り各社とも過去最高益を更新した。
しかし、好調を続けたコンビニ売上高も6月以降は既存店のマイナス傾向が出ている。経済産業省の調べでは全国コンビニ既存店売上高は6月が2・7%減、7月3・4%減、8月1・4%減、9月1・7%減とマイナス行進が続く。道内のコンビニ既存店売上高も道経済産業局の調べによると6月0・8%減、7月1・2%減、8月は0・9%減とほぼ全国と同じ傾向を辿っている。ただ、9月は全国がマイナスなのに対して2・5%増と北海道にしては珍しい猛暑が9月に入っても続いたためコンビニ売上げを押し上げたものとみられる。
道内のコンビニ出店は堅調で、2011年は144店の新規出店があった。各社の新規出店数は、セイコーマート57、セブン―イレブン43、ローソン33、サンクス3、ファミリーマート8。
12年も同様の出店攻勢が続くとみられるが、札幌市内では各社の出店戦略に変化が見え始めている。中でも敷地面積を従来の倍程度まで使って駐車場面積を広く取った店舗を指向しているのがセブンやローソン。コンビニの店舗面積は従来と変わらないが、駐車台数を20台以上確保できる広いスペースを用意しているのが目立つ。
「従来の常識では駐車台数12台程度だったが、セブンやローソンはその倍の店舗を増やしている。出店コストも従来の倍程度はかかっており、本州並みの出店コストがかかっている。各社の出店戦略が変化する兆しではないか」(流通事情通)
コンビニは、生鮮品の充実やPBを増やすことでスーパーの買い物客を取り込んできたが、この効果も息切れしてきた。敷地面積を大きくして駐車台数を増やすことによって、いわばハード面からの利便性を高めることでさらにスーパーの客を取り込もうとする戦略で、コンビニ出店の新たな潮流になりそうだ。