マックスバリュ北海道は12日の臨時取締役会で、新社長に出戸信成取締役(47)を選任した。就任日は12日。10月29日に死去した山尾啓一社長の後任。出戸氏はこれまで経営企画や財務などを担当し、今年2月から出店候補地を選定する開発本部長に就いていた。出戸氏は同社の前身である札幌フードセンターの実質的な創業者である出戸一成元社長の長男。(写真は、11月8日のマックスバリュ滝川本町店オープン前に朝礼で挨拶する出戸信成氏)
出戸氏は1965年11月生まれ。94年4月に札幌フードセンターに入社し、99年6月取締役総合企画室長兼監査室長、2002年2月マックスバリュ北海道常務取締役営業本部副本部長兼商品部長、03年4月常務取締役管理本部長、08年4月常務取締役経営管理・人事・総務担当兼人事本部長、12年2月取締役開発本部長。
マックスバリュ北海道は、親会社のイオン出身の社長が4代続いてきた。札幌フードセンターと合併した当初は、マックスバリュ店舗の出店を急いだこともあって店舗の個性化が図れず「イオンのPB(プライベートブランド)『トップバリュ』を並べた金太郎飴のような店舗」(食品スーパー業界)と言われたこともある。地域密着路線とかけ離れて売り上げは低迷。しかし、09年4月に就任した故・山尾社長は、この路線を転換して地域色を強めるとともに既存店舗をエリアの特性に応じて「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」にリニューアルして業績を成長路線に戻した。
中でも、格安食品スーパー「ザ・ビッグ」は、ディスカウント路線を徹底、消費者の生活防衛意識の高まりに合致して売上げを大きく伸ばし利益貢献のモデルになった。
同社は、00年10月に札幌フードセンターと北海道ジャスコの合併によって誕生したが、その後、08年4月には住友石炭鉱業系のジョイを合併、社内の一本化に手間取ってきたが、故・山尾氏がトップに就いてようやく一本化の兆しが見えていた。
出戸氏は、創業家の長男として早くから取締役に就任、マックスバリュ北海道が誕生して以降も枢要ポストを歩んできた。しかし、今年2月に故・山尾氏 のシヨック療法とも言える役付役員の廃止で取締役開発本部長に就任。故・山尾氏は、「札幌出身の出戸氏には地元の友人知人が多いので、出店候補地の情報が多く入ってくることを期待している」と語っていた。
新社長に就いた出戸氏は、山尾路線を踏襲、「ザ・ビッグ」を原動力とする成長路線を継続する方針。現役社長の死去で求心力が低下する社内を創業家への回帰で高めることができるか、手腕が期待される。