キリンビール(本社・東京都中野区)北海道統括本部は23日、「北海道厚真町産ハスカップビール」(発泡酒)の発売を記念した座談会を札幌市中央区の同本部で開催した。同社が北海道胆振東部地震の復興支援を目的に、厚真町産ハスカップを使ったクラフトビール(地ビール)の販売をするのは2年目。座談会では、今年のハスカップビールの出来栄えや厚真町の復興の現状などが話された。(写真は、北海道厚真町産ハスカップビールで乾杯する座談会出席者。左から道総合政策部地域創生局胆振東部地震災害復興支援室・大川祐規夫室長、厚真町・宮坂尚市朗町長、キリンビール北海道統括本部・金丸俊憲本部長。映像はスプリングバレーブルワリー・古川淳一ヘッドブリュワー)

 出席したのは、厚真町の宮坂尚市朗町長、北海道総合政策部地域創生局胆振東部地震災害復興支援室の大川祐規夫室長、キリンビール北海道統括本部の金丸俊憲本部長で、ハスカップビールを醸造しているキリンビールグループであるスプリングバレーブルワリー(略称SVB、東京都渋谷区)のヘッドブリュワーでハスカップビールの醸造責任者である古川淳一氏もオンライン参加した。

 厚真町はハスカップの産地で、約100農家が約28haの畑でハスカップを栽培している。2年前の胆振東部地震でそのうちの25%のハスカップ畑が土砂に埋もれたが、現在はほぼ元通りの畑になっている。

 キリンビールは、同町の復興支援を目的に昨年、同町産のハスカップを使ったハスカップビールを醸造、SVB直営店である「SVB東京」(東京都渋谷区)で期間限定販売した。土居農園でキリンビール社員らが収穫、SVBに冷凍空輸して洗浄殺菌、1週間熟成させて醸造したもので、この時はハスカップ120㎏を使い900ℓを生産、好評だった。

 今年はコロナの影響により来店客の減少も予想されたため、ハスカップ使用量を90㎏に抑え、675ℓの生産にとどめた。古川氏は、「今年のハスカップは昨年よりも甘みが強く濃厚な味。麦芽の配合やビールの濃度を調整してバランスを整えた。昨年より少ない製造量にしたが売れ行きは昨年よりも好調」と話した。

 宮坂町長は、「ハスカップの可能性を新たに広げる試みとしてキリンビールの挑戦に感謝したい。今年は春先の低温と少雨で果実としては小ぶりだが、味は濃厚。ハスカップビールも濃厚さが出て味が喉に余韻として残り、素晴らしい出来栄え」と感想を述べた。また、大川室長も「酸味は思ったほど感じられなくて飲みやすい」と評した。

 金丸本部長は、「東京のお客さまに厚真町の限定品を販売して復興を応援してもらいたいと始めた企画が、2年目になった。来年以降も継続するかは未定だが、今後も道外の人たちに厚真町の素晴らしさを発信していきたい」と訴えていた。
 今年の厚真町産ハスカップビールは、SVB東京の1店舗限定で9月4日から発売を開始。当初は10月中旬に終了する予定だったが好調のため、9月末で完売の見通し。価格は360㎖、930円(税込み)。



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