年商4300億円でホームセンター業界2位のDCMホールディングス(HD、本社・東京都品川区)が、年商1399億円で同7位の島忠(同・埼玉県さいたま市中央区)に株式公開買い付け(TOB)を検討していることが18日、分かった。ホームセンター業界では、年商1126億円で同10位のアークランドサカモト(同・新潟県三条市)が年商1885億円で、同6位のLIXILビバ(同・埼玉県さいたま市浦和区)を下克上買収する方針を決めるなど再編が進んでいる。DCMHDが島忠のTOBに進み、成立すればカインズ(同・埼玉県本庄市)を抜いて業界1位に躍り出ることになる。(写真は、札幌市厚別区にあるDCMHD子会社、DCMホーマックの本社)

 DCMHDの発端は、2002年5月にカーマ(同・愛知県刈谷市)とダイキ(同・愛媛県松山市)が三井物産の仲介で業務提携したことに始まる。03年5月にホーマック(同・札幌市厚別区)が入り、3社間での資本業務提携に進んだ。そうした下地をつくった上で、06年9月に3社で持ち株会社「DCM Japanホールディングス」を設立、10年6月に商号を変更して「DCMホールディングス」になった。

 言わずと知れたDCMは、ダイキ、カーマ、ホーマックの3社の英文表記の頭文字を一つずつ取ったもので、このことから分かるように3社間の絆は強い。それを象徴するものに、プロ向け道具・工具ショップ「HODAKA(ホダカ)」がある。現在は42店舗展開しているが、この名称も3社の名前から引用したものだ。

 DCMHD子会社のDCMホーマックは、石橋を叩いても渡らないと言われるほど慎重で堅実な経営で知られる。厚別区にある本社も長く賃借物件で、自前の本社を構えたのはごく最近のこと。こうした社風を持つ企業と合うのは、やはり同じ経営観を持つ企業同士。DCMHDは、派手さはないものの慎重で堅実ということが持ち味のようだ。

 一方で、M&A(企業の買収・合併)には果断に進む。15年7月には北海道・北東北でホームセンターを展開している「サンワドー」(同・青森市)、16年12月には「くろがねや」(同・山梨県甲府市)を子会社化、20年2月には関東、甲信、東海、近畿でホームセンターを展開する「ケーヨー」(同・千葉市若葉区)と資本業務提携、現在は19・29%の株式を持つ筆頭株主でもある。

 DCMホーマック3代目社長の石黒靖規氏(57)は、20年3月にDCMHDの副社長から社長・COO(最高執行責任者)に就任したが、これは21年3月に持ち株会社傘下企業を合併して新会社「DCM」に移行させるための布石でもある。そうした中で、今回明らかになった島忠に対するTOBは、ホームセンター業界が再編の大波に晒されていることをあらためて実感させられる。


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