コープさっぽろは17日、道内の木材資源を活用した「木質ペレット普及プロジェクト会議」を発足、一般家庭で石油に代わる自然エネルギー燃料として利用を進めていくほか、低価格の専用ストーブ開発も合わせて行いエネルギーの地産池消を後押ししていく。木質ペレットは環境に優しい暖房燃料として期待されているものの、ストーブ価格が1台50万円程度するため普及が進んでいない。プロジェクト会議ではペレットの製造、流通、ストーブの生産体制、利用後に出る灰の回収といった一連の流れを整備し、ストーブ価格も1台20万円を切る程度まで下げ、来年の冬には本格的に一般家庭が利用できるようにする考え。(写真左は、記者会見するコープさっぽろ山口敏文専務理事=中央とNERC大友詔雄代表取締役センター長=左、山形定北大大学院工学研究院環境創生工学部門教授=右。右の写真は木質ペレット)
「木質ペレット普及プロジェクト会議」は、北海道大学や道立総合研究機構、コープさっぽろ、エネコープ、大学発ベンチャーで自然エネルギーの普及促進を事業にしているNERCのほか行政やペレット製造業者など25人で発足。
木質ペレットを燃料に使うと道内の間伐材や廃材を有効利用できるほか、地域の雇用を生み出すことも可能で輸入に頼る石油に比べ自然エネルギーを利用した循環型社会を構築できると期待されている。
しかし、現状はペレットを使う専用ストーブが輸入に頼らざるを得ず、1台50万円程度もするため道内約1600世帯にしか普及していない。
普及が進んでいないため、ペレット価格も㌔当たり45円台で灯油の1㍑当たりの熱量と比較するとペレット2㌔分に相当するので、現状の灯油価格90円程度とほぼ同じ。しかし、石油は今後も高値圏で推移すると見られるほか、化石燃料から自然エネルギーへの転換の流れは加速することが必至。
木質ペレットの製造工場は、現在道内に17ヵ所あるが現状の稼働率は17%に過ぎない。ペレット原料になる道内森林から出る間伐材や廃材は年間30万㌧ほどあるが、多くが未利用のまま。今後、工場の稼働率が上がっていけばペレット価格も下がることが期待でき、「80%に稼働率が上がれば㌔当たり20~30円にはなるだろう。灯油との競争力は一気に高まる」(NERC代表取締役センター長の大友詔雄氏)
コープさっぽろでは、プロジェクト会議の議論を踏まえて、原料調達からストーブ生産体制の整備、需要面での整備を進め来年冬から本格的に一般家庭向けに利用促進を図っていく。
ストーブ生産については、ドイツのメーカーから技術供与を受けて道内で生産できるようにしていく。「3年後には年間1000台くらい製造できるようにしたい。その時点で価格は20万円を切る程度に下がるだろう」(コープさっぽろ専務理事の山口敏文氏)
プロジェクト会議では、一般家庭用だけでなく、スイミング教室などや自治体施設で使うボイラーの燃料としても普及を図り、通年でペレット消費が増える方策も検討する。
木質ペレットを利用した暖房は、高知県では農業用ハウスでも使われており、道内でも農業用にも需要が期待できそう。
※ペレット価格の現状と今後について誤りがありましたので、訂正しております。(追記)