道内中堅食品スーパーの豊月とダイイチの間で、共同の仕入れ会社を作る構想が浮上している。価格競争力を高めるには、仕入れ規模の拡大が不可欠と見て共同出資による仕入れ会社を設立し、大手卸会社の出資なども仰ぐ方向で検討する。地場中堅の北雄ラッキーやいちまるも参加すれば、売上げ規模で年間1000億円を超える。(写真は、ダイイチの鈴木達雄社長=左と豊月の豊岡憲治社長)
地場食品スーパーが、激しい価格競争が続く中で生き残っていくには、地方に拠点を置く中堅スーパー同士が連携するローカル連合がひとつの選択とする考えは以前からあった。
アークスの誕生は、全国大手流通が道内食品マーケットを席巻するのを防ぐ目的があったためで、ラルズ、福原やふじ、東光ストア(旧札幌東急ストア)、道南ラルズ(旧ユニークショップつしまが核)、道東ラルズ(旧イチワが核)など道内地場の大連合を作り上げた。この結果、アークスは道内の売上高が3000億円を超え、マーケットの3割を抑えた。仕入れ規模の拡大によって価格競争力が強まり、北東北に拠点を置くユニバースとの統合にも結びつくなど“強者連合”として全国的にも注目を集めている。
アークスが地場大連合を作り上げた中で、単独資本で経営している地場中堅の食品スーパー各社は仕入れ規模で格差が生じ、価格競争で劣後。このため、こうした地場スーパーが統合して、持ち株会社を作る第2アークスの構想も一部で囁かれたことがあったが日の目を見なかった。
今回、新たに浮上しているのは、仕入れを共同化する構想。ローカル各社が経営の自主性を維持しつつ仕入れ共同化によって仕入れ規模を拡大、調達コストの低減を図ろうというものだ。
ダイイチといちまるは、既に資本・業務提携をしており、仕入れの共同化も図っていく体制を整備しており、この過程でフードDを展開する豊月との間で仕入れを共同で行う会社設立の案も出ているわけ。
豊月とダイイチは、三井物産系列の三井食品との繋がりが濃いてとされ、将来的には三井食品を含めた食品卸会社の出資も想定されそう。
また、自主独立路線を宣言している北雄ラッキーも経営の独立性を保ちつつ仕入れ面でコスト競争力を高める自由度が広がれば、こうしたローカル仕入れ連合に参画する可能性がある。
ダイイチ(約300億円)、いちまる(約100億円)、豊月(約200億円)、北雄ラッキー(約450億円)の4社の売上高を合算すると1050億円の規模になる。売上げ総額が1000億円を超えると卸会社との商品調達も優位になり、販売奨励金(リベート)の率もアップすると見られる。
アークスに非加盟の地方中堅ローカルスーパーの新たな生き残り策となるのかどうか注目される。