コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は15日、2019年度(19年3月21日~20年3月20日)の決算を発表した。事業高(売上高)は2806億9900万円、経常剰余(経常利益)は28億700万円、前年度比1%の減収、2・7%の経常減益だった。当期剰余(当期利益)は前年度の10億円から25億円と2・5倍になった。前年度に計上した胆振東部地震による特別損失の反動が要因。(写真は、コープさっぽろ本部)

 部門別事業高は、店舗が1833億8500万円で前年度比2・9%減となった。年度当初からコスト削減を重視してチラシ配布を減らすなどしたため競合他社にお客が流れたほか、19年10月の消費増税時の5%ポイント還元事業の参加が直前に却下されたことによる販促不足が影響した。年度中に旭川2店舗、函館1店舗を閉店、札幌市内2店舗をスクラップ&ビルドで建て替えた。20年2月以降は新型コロナの影響で店舗売り上げが伸び、減収幅はやや縮まった。店舗事業高が前年度を割り込んだのはこの20年間で2回目という。店舗事業の赤字状態は続いている。

 宅配事業は890億9000万円で前年度比2・7%増となった。そのうち灯油を除いた宅配事業高は803億5500万円で同3・1%増だった。カタログ販売の強化や取扱商品の拡大、配送センター拡充で利用が増えた。共済事業は19億3500万円で前年度比4・5%増、その他収入は62億8800万円で同6・4%増だった。

 組合員数は前年度より4万8852人増えて181万1533人、出資金は46億9900万円増えて771億5600万円、組合債残高は14億7400万円増加して351億7500万円になった。年度中の設備投資は約140億円で、そのうち約45億円を江別物流センターの自前化(日本生活協同組合連合会から取得)に充てた。金融機関借入金は同センター取得に伴う借り入れ増により長期・短期借入金合計が前年度より10億3200万円増の33億8300万円になった。当期剰余金25億円は全額を累積損失解消に充てる。年度末の累損額は254億円に減る。

 2020年度は事業高2849億3500万円、経常剰余32億100万円を計画、19年度比1・5%の増収、14%の経常増益を目指す。部門別では店舗事業1842億円、宅配事業920億200万円を想定。札幌市白石区に新規出店するほか、旭川市と三笠市に宅配センターを新設する。また、店舗事業の黒字化に向け投資回収が難しい店舗の廃店基準を設け、21年度以降に適用する。大見英明理事長は、店舗事業に関して、「コロナ問題による所得不透感が増し、年度後半から節約志向は一段と進むだろう。食品スーパーの価格競争は激しくなって体力勝負になる可能性は高い」と話し、消費者の節約対応策を強化する考えを示した。



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