セコマ(本社・札幌市中央区)と北海道ガス(同・同市東区)、北ガスジェネックス(同・同市東区)は20日、災害に強いコンビニのエネルギーシステム構築及び災害発生時のエネルギー・物資の相互強力に関する連携協定を締結した。地震など災害時にセイコーマートの店舗運営継続に必要なシステムを協力して構築するとともに、災害時のガスインフラ復旧作業が円滑に進むようにセコマが北ガスグループに物資供給などを行う。(写真は、連携協定を締結したセコマの丸谷智保社長=右と北海道ガスの大槻博社長)
セコマと北ガスは、「セイコーマートもみじ台店」(札幌市厚別区)で北ガスから電気供給を受けたり、「セイコーマート北海道大学店」(同市北区)で北ガスが北大と共同研究しているAI利用のロードヒーティングを試験導入したりするなど連携してきた。こうした良好な関係の中、昨年9月の北海道胆振東部地震によるブラックアウト検証を進める過程で、互いの強みを持ち寄れば災害時でも継続運営できるコンビニを増やし市民生活の安全安心に寄与できると判断、連携協定を締結することにした。
この協定に基づいて、すでに「セイコーマート栄通2丁目店」(同市白石区)に停電時も発電できる都市ガス利用のガスヒートポンプエアコン(GHP)を環境省の補助金を得て試験導入。このGHPはパナソニック製で通常は発電とともに冷暖房を行い省エネ効果があるほか、停電時でも都市ガスで継続して発電、店内電源を確保できる。GHPは、オフィスビルや老健施設などに導入されているがコンビニに導入されるのは道内で初めて。両社は実証テストを行い効果が確認されれば、セイコーマートの新店舗を中心に導入していく。
(写真は、「セイコーマート栄通2丁目店」に導入された自立発電機能搭載型GHP)
また、店内調理の「ホットシェフ」用に使っているLPGボンベで動く小型発電機を各地区の倉庫に保管、停電時に発電機を各店舗に運んで店舗運営を継続させる。LPGを利用していない店舗では、災害時に北ガスジェネックスから小型LPGボンベの供給を受け発電機とともに店舗に運んで利用する。道内各ブロックで10~20台の小型発電機を用意する。
一方、災害時にセコマは物流網を活かして北ガスグループがガスインフラ復旧作業を円滑に行えるように必要な物資を供給する。その他、北ガスのポイントがセコマの電子マネー「Pecoma」に交換できる取り組みも始める。
セコマの丸谷智保社長は、「停電時でも通常時のような電源が確保できるようになれば冬場にはジェットヒーターを動かすことやポットでお湯も沸かせ、店舗では現金以外も使えるようになる。互いの良いところを持ちよりながら分散型エネルギーのネットワークをつくっていきたい」と話した。
大槻博社長は、「災害に強いエネルギーネットワークの取り組みを共同で進めていきたい。災害時でも安心して暮らせるような社会をつくっていくため今回の強力な連携を実のあるものにしていきたい」と語った。