イオン北海道が厚岸店で始めた食品の激安店舗化に食品スーパー各社が大きな関心を示している。従来に比べて価格を2~3割安く提供する『買って実感!毎日お得!』と銘打った激安化をGMS(大規模小売店舗)の食品売り場で導入したもので、同じ地域で競合する食品スーパーとの低価格競争が避けられなくなる。
 これまで、GMSは食品スーパー(SM)で進むディスカウント化とは一線を画していた。食品スーパー各社の最大の関心は、「次の激安店舗化はどのイオン店舗なのか」ということ。イオン北海道のGMSは全道に広がっており、導入店舗が増えると低価格競争が全道に広がる可能性がある。
 
 イオン北海道は、11月26日から厚岸店(厚岸町港町1丁目)の食品売り場を激安化した。店頭に出す商品の品揃えを売れ筋中心に絞りこみ、管理コストを低減、人件費も抑えて激安価格で提供できる仕組みを導入。従来より2~3割も低価格で食品類を提供している。
 
 食品の激安化は同じイオングループのマックスバリュ北海道が『ザ・ビッグ』で先行。札幌市内や江別、岩見沢の各市で従来のマックスバリュ店舗から転換、今年後半には釧路市内の3店舗を全てザ・ビッグに切り換えた。
 
 マックスバリュ北海道がザ・ビッグに転換した店舗の商圏には、イオン北海道のGMS店舗が立地しているところも多く、少なからずグループ内競合が起きている。
 
 とりわけ釧路地域は、全国大手のディスカウント店、トライアルが春先に2店舗をオープンさせるなど価格競争が激しくなっており、イオン北海道では釧路から46㌔しか離れていない厚岸への影響も大きいと見て、マックスバリュ店舗のない地方のGMSで激安化の実験店舗として厚岸店を位置づけたものと見られる。
 
 イオン北海道では、実績を見ながら全道で展開する他のGMS店舗の食品売り場にも導入していく考えで、低価格競争はGMSも巻き込んだ形で進んでいきそうだ。
 
  関係者の間では、「イオン北海道が展開する旭川3店舗のうち、旧ポスフール店舗で激安化を導入するのでは」と危機感を強めている。


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