卸売スーパー(本社・札幌市手稲区)は、6月からチラシの新聞折り込みを大幅に縮小し、テレビCMを強化する販促に切り替える。チラシの効果がそれほど見込めないため、価格訴求を前面に打ち出したテレビCMを月間350本とほぼ倍増させる。(写真は、9日にオープンした「卸売スーパー清田店」)
卸売スーパーは札幌市内6店舗と岩見沢市と美唄市にそれぞれ1店舗を展開しており、2019年4月期決算は売上高130億円と前期並みだった。食品スーパーは、同業者間だけでなくドラッグストアやコンビニエンスストアといった異業態間での競争も年々激しさを増し、多くの食品スーパーの売上高は前年比95%前後で推移している。
「食品スーパーという業態は将来的にもなくならないが、お客の買い方は大きく変化している。売り方も変えていかなければ持続的に経営はできない」(津司耕太郎社長)として、4月10日にリニューアルした「平岡店」(札幌市清田区)、5月9日に移転オープンした「清田店」(同)では、実験的な取り組みを進めている。
この一環として販促を変更、6月からチラシの新聞折り込みをこれまでの週3回から週1回に減らし、テレビCMを月間175本から300本にほぼ倍増させる。「チラシを実際に見て買い物に来るお客は、以前に比べて減っている。チラシの効果は限定的になっており、テレビCMにシフトすることにした」(同)。
これまで週末に向けてもチラシを折り込んでいたが、週末はテレビCMにウエートをかけて品物と価格を訴求する。CMを放映するのはHBCとSTVの2局。同社の広告宣伝費は、約3億5000万円でチラシ向けは3億円弱だった。削減分をテレビCMに振り向けるとともに商品価格を下げる原資にも使う。「テレビCMで打ち出す価格が中途半端なら視聴者は見向きもしないだろう。思い切った価格を出しても、その商品が途切れないように仕入れ力を生かしていく」(同)と話している。