人口減や少子高齢化で地方の食品スーパーが新たな展望を開けない中で、「ダイイチ」と「いちまる」の資本・業務提携が地方食品スーパー再編の契機となりそうだ。広域分散の地理的制約がある道内で展開する食品スーパーは全国に先駆けて合従連衡が進み、「今や北海道は日本の食品スーパーの将来を暗示している」とまで言われる。3大グループが地方への攻勢を強める中、売上高が30~50億円の地方スーパーは3大グループ入りか、「ダイイチ」と「いちまる」のように地方スーパー同士の提携かの選択を迫られている。(写真は、アークスグループに入った網走市の篠原商店が運営する店舗)
 
 核になる街が広域分散している北海道では、物流が大きなネックになる。食品卸が地方から撤退して札幌圏に拠点を集約する傾向が高まり、アークス系、コープさっぽろ系、イオン系の3大グループに属していない地方スーパーは物流面でのハンディを負い、「仕入れ価格面では劣勢。地場の市場から仕入れる生鮮食品で差別化を図ろうとしてもグローサリー、日配品は卸に頼らざるを得ず価格競争では太刀打ちできない」(道央圏の食品スーパー社長)
 
 物流面のネックからアークス入りしたのが網走の篠原商店。売上高50億円で堅実に利益を出すスーパーだが、仕入れ価格の上昇から単独での生き残りは難しいと判断しアークス入りを決めた。
 
 帯広を中心とした十勝圏が主力のダイイチといちまるも、仕入れ面を統合することによってハンディを払拭するのが提携の原動力になった。両社の売上高を合算すると約400億円。
 
 人口減や高齢化が地方では急速に進んでおり、パイの縮小と仕入れ価格上昇は、地方スーパーの再編を後押しするのは避けられない情勢になっている。篠原商店やダイイチ・いちまるに続いて再編に踏み込むと見られているのが、中標津の東武や道北を中心に展開する西條。東武は70億円、西條は260億円の売上げがある。また、20~30億円の地方スーパーも再編へ向かうと見られる。
 
 3大グループの一角に入るのか、地方スーパー同士が手を結んでいくのか、「今後、いろんな形の再編が出てくるだろう。いずれにしても道内スーパーの再編は最終段階に入ったことは間違いない」(前出の社長)


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