アークスと北東北拠点のユニバースが10月21日に経営統合、ユニバースはアークスの完全子会社になるが、両社の意外な共通点として生活協同組合のDNAが組み込まれていることが挙げられる。生協のDNAは連帯や連合にあり、両社とも生協の元幹部が経営の中枢を占めている。元幹部が放つ連帯・連合の精神が両社の統合を導いた触媒役としてひと役買ったとも言えそうだ。
アークスに在籍する元生協幹部は馬場利昭氏。1990年代後半にコープさっぽろが経営危機に見舞われた際にアークスの前身であるラルズに転出。その後、アークス100%子会社の道南ラルズに転じ、現在は道南ラルズの社長を務めている。
馬場氏をコープさっぽろ時代から知る関係者は、こんなエピソードを語る。「馬場さんは、中央大学法学部を出て札幌で就職するために大丸スーパーと札幌市民生協の入社試験を受けようとしていたが、最初に試験があったのが生協。生協に決まったので大丸スーパーの試験を受けずに生協を選んだ」
大丸スーパーはラルズの前身で札幌市民生協は現在のコープさっぽろ。馬場氏は、コープを辞した後に横山清氏が社長を務めていたラルズに入ったが、何やら因縁めいている。馬場氏はラルズに転じた後、頭角を現して現在は道南ラルズのトップを務める。
一方、ユニバースの元生協幹部は竹永徹雄氏。生活協同組合ユーコープ事業連合の商品本部長や理事を務めた後、2005年11月にユニバースに転じて商品部長に就任している。
ユーコープ事業連合は、1990年3月に設立したれた生協で神奈川、静岡、山梨3県の6会員生協から構成されている。市民生協やまなし、コープしずおか、コープかながわ、うらがCO‐OP、全日本海員生活協同組合、富士フィルム生協の6生協で、2010年度決算は供給高1493億円、経常剰余1億2700万円、当期純利益は5億600万円の損失になっている。
竹永氏は、ユニバース入社直後の05年12月に取締役に就任、商品部長と食品グループ長を兼務、11年6月には取締役営業支援部長に就任している。
アークスとユニバースの経営統合によって、ユニバースは100%子会社になるが、竹永氏はアークスの取締役にも就任する。
アークスとユニバースの経営中枢に元生協幹部が在籍していたことは、両社に生協のDNAでもある連帯や連合の意識が少なからず醸成されていたということもできる。そうした土壌が、アークス横山清社長とユニバース三浦紘一社長の決断を後押ししたことは十分に考えられそうだ。