セコマ(本社・札幌市中央区)の丸谷智保社長は15日、札幌市中央区のロイトン札幌で開催された一般社団法人北海道ファシリティマネジメント協会(略称HFMA)の設立25周年記念大会で講演、北海道胆振東部地震による被害から通常営業に戻るまでの経過と危機から学び取ったことを事業に生かすことの必要性を訴えた。(写真は、講演するセコマの丸谷智保社長)

 講演で、丸谷社長は地震による停電で約1100店舗のアイスクリームや牛乳、豆腐、納豆などチルド商品廃棄による被害が約4億円だったことを示した上で、店内の一部損壊や工場、物流センターの損壊を含めて被害総額が約5億5000万円及んだことを明らかにした。

 また、震災後にカップラーメンや水、おにぎりなどを買い求める多くの客が押し寄せ、店舗にある大半の商品が品切れ状態になり、それを通常の状態に戻すのに約1ヵ月を要したことを報告した。
「1100店で通常は2600万個の在庫が必要だが、いつも運んでいる120万個の物流に加えて80万個、合計200万個の物量を確保しなければならなかった。トラックを増便して各店舗に運び、1100店舗を真っ当な状態に戻すまでに32・5日かかった」(丸谷社長)。
 
 被害総額5億5000万円のうち保険でカバーできる部分は少なく、被害を回収するためには危機から学び取った効率化などを徹底的に実践、コスト削減に結び付けていくことが必要と強調。「惣菜を作っているグループ会社は、震災後に効率化を進め、年間1億円のコスト削減に道を開いた。グループ全体で少しずつこうした効率化を積み上げれば、5億5000万円は危機から教えられた教育投資だったのではないかと思う」と述べた。
 丸谷社長は、震災から学び取ったことを事業効率化に生かしていくことが重要で、次に備えて企業を強靭化していくことが震災の教訓を無駄にしないことに繋がると訴えていた。



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