コープさっぽろは、子会社で薬の販売を行っているシーズドラッグと共催で「がん予防健康セミナー」を21日に開催した。会場となったコープさっぽろ北12条店2階会議室には、組合員など約60人が参加、講師の浅香正博・北海道大学大学院医学研究科がん予防内科学講座特任教授の話に聞き入った。(写真は、コープ組合員などにがん予防について話す浅香教授)
がんになる人は珍しくない。2005年には国内で180万人だったが、12年には230万人になると推測され、そのうち70%が65歳以上の高齢者で占めるという。がん遺伝子とがんを抑制する遺伝子のアクセルとブレーキの調整ができなくなって発生するがんは、老化現象のひとつで世界一の長寿国になった日本では避けて通れない病気、まさに「がんになって当たり前の状態」(浅香教授)
がんの原因は何か。浅香教授によると、「喫煙と感染によるものが25%ずつ、生活習慣が40%弱。タバコをやめることと感染源を断つことで、がんの半分の原因は消える」と指摘する。
また、アルコールもWHO(世界保健機関)は07年に発がん物質と認定し、日本酒換算で毎日2合以上飲酒する人で発がん率は飲まない人の1・5倍、3合以上で1・6倍、タバコと飲酒をする人では2倍以上に発がん率が高まるという。
浅香教授は、「体内でアルコールを分解するアセトアルデヒドは発がん作用で最も重要な因子。アルコールですぐ赤くなる人はがんに罹りやすいんですよ」と言うと、参加した女性組合員からは「エーッ」という声が沸きあがった。
ここ10年くらいの研究で肥満によってがんに罹りやすくなることも分かってきたという。世界的にはBMI値が30以上を肥満としているが、日本では欧米と体質が違うために25以上を肥満としている。国内でBMI値25以上の人が男性で1300万人、女性で1000万人いると推定されている。インスリンを介してがんになるとされ、肥満由来のがんは女性に多く見られるという。
では、がんの予防には何をすれば良いのか。「タバコをやめることと感染源の遮断でかなりのがんは抑制できるが、生活習慣由来のがんはなかなか予防しにくい。一次予防としては運動が大切だが、中でも大腸がんの予防に一番良いのは運動だということが分かってきた。週3回、脈拍数180を超えるような運動習慣があれば大腸がんは予防できる」と浅香教授は参加者にアピール。
また、肝臓がんや子宮頸がんなどのウイルスが原因のがんには、ワクチン接種でウイルスの動きを止めることが予防に繋がるとした。
胃がんでは年間5万人が亡くなっており男性は女性の2倍。生活習慣よりもピロリ菌の感染によると見られる比率は95%とされる。ピロリ菌を除菌することによって胃がんは3分の1になるという。
浅香教授は、「胃がんの場合は、ピロリ菌の除菌で年間30万人の死亡者がゼロに近づく。ピロリ菌が胃の中にいるのかどうかは、血液検査で簡単に分かる。肝臓がん、子宮頚がん、胃がんは原因の多くが感染病だから、1次予防で防げるので特に胃がんについてのこれまでの対策から変えなければならない」と強調した。
コープさっぽろは、北大病院地域健康社会研究部門と連携して、道内各地で医療セミナーを2年間継続していく。今回は、北見、旭川、江別に続く4回目。