コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は、昨年から開始した「札幌禎心会病院」の給食提供に続き、4月から社会福祉法人札幌山の手リハビリセンターが運営する介護3施設での給食事業を開始した。噛む力や飲み込む力が弱った高齢者向けに、美味しさを維持しながら野菜や肉を軟らかく調理、食べる楽しさを感じてもらえるようにした。(写真は、介護施設向けの給食を持つ波川利昭シェフ)
コープさっぽろは、関連会社のコープフーズ(札幌市西区)を通じ昨年から札幌禎心会病院の病院食を提供している。同病院の厨房にコープフーズの社員やパート約30人が入り、入院患者向けに約180食を患者ごとの病状に合わせて作り分けして提供している。コープさっぽろの持つ食材調達力を生かして主要食材は道産品を利用、味と彩りを工夫して病院食であっても美味しく調理している。
今回、同病院と業務提携して地域包括ケアを推進している札幌山の手リハビリセンターが運営する「ケアセンター山の手」(西区)、「ケアセンター栄町」(東区)、「ケアセンターら・せれな」(北区)の入所者やデイサービス利用者などに給食提供を始めた。
3施設の献立は統一しているが、普通に食べられる高齢者向けの「常食」、入れ歯の高齢者が食べやすい「軟菜食」、歯茎で食べられる「軟々菜食」に分け、アレルギーや塩分など個人ごとに作り分けている。1施設の厨房にコープフーズから約15人が入って3食を作って提供。1施設で1回に約180食を作っている。
札幌禎心会病院では、3週間に1度「中華の日」を設け、元札幌グランドホテル内の「黄鶴」調理長で現在はコープさっぽろに在籍する波川利昭シェフが患者に合わせて油分の少ないエビチリなどを調理して提供している。今度の3施設でも「中華の日」を設け、波川シェフが監修して高齢者にも食べる楽しさを感じられる中華を提供する。波川シェフは病院や介護施設の給食の献立・調理にも協力している。
コープフーズ社会給食事業部の鈴木裕子部長は、「高齢者の状態はそれぞれ違うので、1つのメニューでも10種類くらいの作り分けが必要。介護施設などの給食のニーズは高いので、今年度は3施設で給食提供の仕組みを構築、来年度から全道の高齢者施設などに事業を拡げていきたい」としている。