養鶏場と言ったら、どんなイメージを浮かべるだろうか。一般的にはケージを積み重ねた鶏舎の中で餌を与えられて卵を産むシーンを想像するが、鶏本来の習性を活かし地ベタに放し飼いをして卵を産ませる「平飼い」という養鶏法もある。そこで生産される卵は、値段は少し高いが安全で動物に優しい飼育法ということでジワジワと消費者に浸透している。そんな「平飼い卵」をコープさっぽろ(本部・札幌市西区)が、全道に展開する108店舗で取り扱うことになった。(写真は、12日にコープさっぽろ本部で行われた平飼い卵全店取り扱いの会見。右からコープさっぽろ大見英明理事長、はるか農園三浦賢悟さん、コープさっぽろ小松均生鮮本部長)
欧州では、ケージによる養鶏法で生産した卵は販売禁止になっているという。日本ではまだ耳慣れないが、「アニマルウェルフェア」、動物福祉という考え方が欧州では一般的になりつつあるからだ。コープさっぽろの大見英明理事長は、欧州各国のコープを視察するたびに、アニマルウェルフェアが市民権を得つつあることを実感。コープさっぽろの組合員からも、そうした観点の商品を揃えて欲しいという要望が増えてきたこともあって、今回、第1弾として平飼いで飼育する鶏の卵を全店で販売することにした。
ケージ飼いでは、数万羽から数十万羽の鶏を飼育しているため大量調達が可能だが、平飼いでは多くても数千羽のためコープさっぽろは全道各地区の17生産者から個別に仕入れて販売することにした。6個入りや10個入りなど包装パックや規格は各生産者に任せ、値段もまちまち。平均すると1個40~60円、通常の卵より3~4倍。
札幌地区の店舗に供給する「はるか農園」(千歳市)の三浦賢悟さんは、「平飼いは、鶏が自由に歩いて自由に餌を食べ自由に卵を産める飼育法。そこで生産される卵は、今までごく限られた範囲でしか流通していなかった。餌や飼う環境に手間をかけて作る卵なので値段は高い。しかし、ジワジワ広がっていて、私たちが思った以上に安全でおいしいものを評価してもらえることを感じている。コープさっぽろの全店で買うことができるようになるので、消費者にいろんな卵を味わっていただけたら嬉しい」と話した。ちなみに、はるか農園の平飼い卵は6個入り290円(本体価格)。
コープさっぽろの大見理事長は、「平飼い卵を起点にアニマルウェルフェアの観点から家畜、畜肉全般で商品取り扱いを検討して組合員の選択肢を用意したい」と語っていた。