アークス(本社・札幌市中央区)社長の横山清氏(82)は15日付で東証ジャスダックに上場している北雄ラッキー(同・同市手稲区)の株式買い付けを行う。横山氏個人が行うもので議決権ベースの5・54%にあたる35万株を取得する。横山氏と北雄ラッキーの桐生泰夫名誉会長(80)とは50年来の盟友。横山氏の株式取得の狙いは何か。IMG_1081(写真は、横山清社長)

 2016年度の有価証券報告書よると北雄ラッキーの筆頭株主は10・79%を保有する桐生名誉会長で、今回の株式取得によって横山氏は同社の2番手株主になる模様。

 アークスは、ラルズ(本社・札幌市中央区)と福原(同・帯広市)の経営統合によって2002年に誕生して以来、株式交換による経営統合によって成長してきた。旭川のふじ、札幌の旧札幌東急ストア(現東光ストア)、網走の篠原商店など道内スーパーを次々にグループ化。共同仕入れ会社、北海道CGC(本社・札幌市豊平区)を通じて関係の深い北雄ラッキーのグループ入りも常に話題になってきた。

 しかし、北雄ラッキーは独立路線を堅持、北海道CGCによって実質的にアライアンス(連携・協調)を組んでいるのと同じ効果があるとしてそれ以上の関係強化は不要という考えだ。
 横山氏と桐生名誉会長は、半世紀近い家族ぐるみの交流を通じて気脈を通じている。今回の横山氏個人による北雄ラッキー株の取得には、桐生名誉会長も容認姿勢とみられる。アークスとしてではなく横山氏個人として株を保有することで2人の関係、両社の関係に波風が立つのを抑えつつ横山氏の思いを形に変えたと言える。

 北雄ラッキーは、アークス以外にもイオン(本社・千葉市美浜区)やコープさっぽろ(本部・札幌市西区)、イトーヨーカ堂(本社・東京都千代田区)のグループ入りが常に噂される存在。とりわけ、ヨーカ堂と提携しているダイイチ(同・帯広市)の鈴木達雄社長(70)と桐生名誉会長との信頼関係は強く、ヨーカ堂グループ入りも現実味を帯びている。

 横山氏による株式取得はそれに対する牽制効果も出てくる。桐生名誉会長は昨年5月に取締役から降りて経営の一線から退いており、今は大株主の立場。そして2番手株主になるとみられる横山氏。2人の大株主の意向をどう捌いて経営を進めていくのか、桐生名誉会長の長男で社長を務める桐生宇優氏(51)の判断が今まで以上に重みをもつことになりそうだ。



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