「マックスバリュ北海道」出戸信成社長インタビュー②

流通

 ――承継店舗の新たな課題も見えてきました。

 出戸 「稲田店」、「イーストモール店」が130~140%伸び続ける中でオペレーションの課題も見えてきました。惣菜や刺身などインストア作業のスピードをどう引き上げていくかということです。長年かかって様々な店で少しずつ上がってきた作業スピードをどう他店舗に普及させるかが浮かび上がってきています。如何にスピードを引き上げるか、訓練も含めて今後の課題になります。
 
 ――承継店舗の採算はどうですか。
 
 出戸 承継した21店舗のうち、黒字店舗は3店舗しかありませんでした。札幌市内の「マルヤマクラス店」と「稲田店」、「中札内店」の3店舗で他は全部赤字でした。今はダイエー店舗トータルで黒字になっています。いちまる店舗は7億円強の赤字を出しています。営業利益12億円の会社が7億円の赤字を抱えている訳です。今期はそれを5億円くらいにして、再来年には収支をトントンに持っていきたい。そうなると利益面にも寄与してきます。
 
 ――労働力不足でスーパー各社は人材集めにも苦労しています。人材確保、人材教育にはどう対応していますか。

 出戸 特殊なことはしていませんが、社員比率を上げてでも人手を確保していこうと考えています。フレンド社員(パートタイマー)は集まりづらいですが、正社員はまだ比較的採用しやすい環境です。北海道で働きたいという人がいるので今年は新卒で115人、昨年は113人を採用しました。フレンド社員の採用難を正社員採用でカバーしていくつもりです。

 人材確保で苦労しているのは札幌より地方です。地方ではそもそも働き手の絶対数が少ないことや、働かなくても良い人が多いことなどから結果的に地方の方が社員比率は高くなっています。コストアップに繋がっていくので、支払いセルフレジのように効率化を図っているほか自動化したバックヤード設備なども考えたい。今後2~3年の大きな課題と捉えています。

 ――今年の消費見通しはどう見ていますか。

 出戸 今年に入ってからはDSの伸びが高くなっています。昨年の後半はSMの方が高かったのですが、今年に入ってからお客様は節約にシフトしている傾向があるようです。

 ――DSの売り上げ比率はどの程度ですか。
 
 出戸 売り上げの30%程度です。既存店舗のDS転換はもうやりません。今後は新店でDS展開をしていきますが、出店地域を探すのが難しくなってきました。DSは商圏範囲が広いですから駐車場のスペースをきっちり確保したりしないと売り上げは止まってしまいます。逆にSMの方が、賃借料などからみて出店できる場所が多いようです。

 ――M&Aについてはどう考えていますか。

 出戸 そういう企業が出てくれば検討したい。ただ、店舗の承継はなかなか大変。ダイエーの店舗承継はかなりうまくいった方です。今後は持ち株形式のホールディングスも考えていかなければなりません。(終わり)

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