2017年2月期決算を増収、増益(営業利益ベース、経常利益ベース)とし、安定的な成長軌道に入ったマックスバリュ北海道(本社・札幌市中央区)。2年前の9月と10月に承継した旧ダイエー店舗、旧いちまる店舗計21店舗はほぼ計画通りにオペレーションが進んでいる。既存店売上高は、消費増税の駆け込み需要の反動減があった15年3月を除くと10年9月から連続6年半の前年同月超えを達成。改装店舗と新店舗、承継店舗が三位一体で業績を支える好循環のサイクルが回り始めた。出戸信成社長(51)に前期の振り返りと今期の課題などを聞いた。(写真は、インタビューに答える出戸信成社長)
――前期決算(2017年2月期)をどう総括していますか。
出戸 増収増益になりましたが、内容的には厳しかった。一昨年に承継した店舗を軌道に乗せることが経営課題の一つで、ダイエー店舗は早い段階で軌道に乗ったものの、いちまるの店舗は正直苦戦しています。いちまるの各店舗は、いずれも大きな改装をしないと売り上げを伸ばすことはできないことが分かっていました。前期はいちまる3店舗を「マックスバリュ」に改装しました。もう少し改装店舗を増やす計画でしたが、予定通りに進みませんでした。最終的には、改装のコストを抑えたことなどで増益になり当初の目標に届きましたが、売り上げは計画を下回っています。
前上期は、15年のプレミアム商品券の反動減が予想以上に大きかった。既存店の伸びを105%に設定していちまる承継店舗の減少分をカバーする計画でしたが、既存店の伸びが103%程度にとどまり予定が狂いました。「マックスバリュ」店舗の既存店改装ももっと多くを予定していたのですが、上期の改装による増収が期待値より下回ったので、下期は(改装を)抑えました。そういったこともあって内容的には喜べる状況ではありませんでした。
――プレミアム商品券の反動減はどの業態店舗に出ましたか。
出戸 プレミアム商品券の反動減は、DS(ディスカウントスーパー)の「ザ・ビッグ」の業態に影響が出ました。プレミアム商品券でまとめ買い需要があったことの反動減で、「ザ・ビッグ」の伸びは100%を超えているものの一昨年より鈍化しました。
――道内の各エリアにバイヤーを常駐させて地域密着の品揃えを進めていますね。
出戸 エリアでドミナント出店(集中出店)をして売り上げボリュームを上げて初めてエリアマネジャーを配置することができます。地域主導と本部主導の両輪がうまく回転することが理想ですが、地域にはそれぞれ(商品調達の)歴史があるので、地域主導による地場産品の調達を高めていくには時間が必要です。
エリアで一番地域調達のボリュームが大きいのは胆振日高エリアです。苫小牧でトップシェアを取っていることもありますが、店舗網が室蘭、登別、苫小牧、富川、静内まで広域であることも地場仕入れの多さに繋がっています。これだけ広いといろんなことができます。連携を取って水産強化にも繋げたい。
――エリアバイヤーは他にどこに配置していますか。
出戸 そのほかに函館、十勝、釧路に配置しています。各エリアではDSとSM(通常タイプのスーパーマーケット)のバイヤーを分けていますが、今期から地域資源を交流できないか実験をする計画です。例えば釧路地区のDSバイヤーと十勝地区のSMバイヤーが連携、釧路港や広尾町、大樹町の港で仕入れた魚を相互に配分することを始めます。
青果でもきめ細かい地域対応をする考えです。野菜の旬の時期にどうやって新鮮さを保って店頭に並べるかは大きな課題。そのためには調達する青果の産地確保、エリアの店舗数、物流網を合わせて整備しなければなりません。
イオンアグリは、道央圏にある当社の5~10店舗向けの野菜を作るため、今年新たに農場を開設することになっています。函館では朝獲ったレタスを午後には店頭に並べていますが、他の地域でも朝獲れたものを午後に店頭に並べるようにしたい。グローサリーや畜産系商品は1ヵ所で集荷して各店舗に配送すれば良いですが、農産品は産地、市場、問屋など様々な調達・配送ルートがあるので、デイリー商品などと組み合わせた物流網を再構築していくことが課題ですね。(続く)