苫小牧市や札幌市などで食品スーパー13店舗を経営する豊月(本社・芦別市、本部・苫小牧市)は、攻めの低価格を打ち出すディスカウントストア(DS)を21日にオープンさせた。苫小牧市澄川町の店舗をDS店「フードD365(サンロクゴ)OASIS(オアシス)」に転換、地域一番の低価格で生鮮・グローサリー商品(加工食品や日配品など)を販売する。業態を変えることで130~140%の伸びを見込む。
(写真上は、低価格業態に転換した店舗の外観。写真下は、青果コーナー。店内POPも工夫している。)
豊月は6年ほど前から食品スーパーの高質化路線を進め、江別市に「LISTA(リスタ)」、札幌市手稲区に「BOSCO(ボスコ)」など主として生鮮食品の品質や高質感のある店舗レイアウトを重視した店舗運営を展開してきた。生鮮の高質化路線は一定の成果を上げ、買い物客のストアロイヤルティ(お得意様)も高まったため、高質化路線を維持する一方、低価格政策も打ち出し、「クオリティ&ディスカウント(Q&D)の業態で買い物客のウイングを広げることにした」(豊岡憲治社長)。
背景には、同業者やドラッグストア、家電量販店などによるグローサリー食品の低価格販売により、いわゆる中間層の顧客争奪戦が繰り広げられていること。同社には、生鮮の強いDS店なら低価格競争の中で差別化できるとの判断があった。
豊岡社長は1年前からQ&D路線に向けて仕入れや売価の基準を検討、店内POP、陳列方法の準備を行ってきた。その1号店として「フードD OASIS」(店舗面積約450坪)をEDLP(エブリ・デー・ロー・プライス=毎日低価格で提供)の「フードD365 OASIS」に改装、21日から営業をスタートした。
橋本健太郎店長は、「約3000品目を値下げして単品量販に向けたボリューム陳列を工夫した。また、青果コーナーもゴンドラの高さを低くして買い物をしやすいようにしている。お客様の反応も良く130%の伸びを確保したい」と話す。
粗利(売上総利益)は15%~18%を想定、EDLPのため、今後はチラシも減らしていく。豊岡社長は、「コープさっぽろ、マックスバリュ北海道、ラルズに負けない価格を出していく。DSの『ザ・ビッグ』よりも安く価格設定する」と言う。1年以内に全13店舗をQ&Dの業態に変更していく予定。
(写真は、単品量販向けの陳列法に工夫したグローサリーコーナー)