三菱商事がローソンの株式を51%所有して子会社化する方向が明らかになった。大手商社によるさらなる流通再編に繋がる動きで、食品メーカー、コンビニエンスストア、食品スーパーの系列色が一層濃くなっていくことは確実。独立系のコンビニや食品スーパーの今後の経営に影響を与えそうだ。IMG_6087(三菱商事の子会社化でローソンはどう進化するか。写真は、7月28日にオープンしたローソン由仁町店)

 伊藤忠商事の色が濃いファミリーマートは、9月1日にユニーグループ・ホールディングス(GHD)と経営統合、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)を設立。コンビニ2位に浮上することで3位になったローソンの筆頭株主、三菱商事の出方が注目されていた。

 コンビニ業界で、ローソンは商品開発力がセブン―イレブンやファミリーマートに比べて弱いとされ、店舗の閉店、開店のサイクルも速い。上位2ブランドを追撃するには、三菱商事のグループ力を結集していくことが不可欠とみて子会社化を決めたようだ。

 今回の動きは、大手商社によるコンビニを通じた食産業全体の囲い込みを示している。食品原材料から食品メーカー、卸、小売りに至る川上から川下まで大手商社の色に染めていくということだ。

 三菱商事は、流通2強の1社であるイオン株式の4・8%を所有し食品スーパー全国1位のライフコーポレーションの20%弱の株を保有する。同社の岩崎高治社長も三菱商事出身。食品スーパー2位のアークスには社員を出向、主要な卸は三菱食品でこちらも商事色は強い。最もアークスには、三井物産からの出向者もいて商事一辺倒ということでもない。三菱商事は、そうした中でローソンの持ち株比率を高めて子会社化することで食のバリューチェーンにおける商事色を一層濃くすることが可能になる。
 
 三井物産は流通2強のもう1社であるセブン&&アイ・ホールディングス(HD)の株式を1・83%所有、セブン&アイHD傘下の総合スーパー、コンビニ、提携食品スーパーでは卸を含めて物産色が強い。伊藤忠商事は前記したようにユニー・ファミリーマートHDの3割強を持つほか卸の領域で伊藤忠色が濃い。

 大手商社と流通2強、卸、さらにコンビニ、食品スーパーの縦割り化はナショナルブランド(NB)の食品メーカー系列化も促す。こうしたバリューチェーン系列化の動きは、独立系のコンビニや食品スーパー、中小零細の食品企業の経営にも影響を与えそう。売る商品を仕入れることができない、商品の売り先がない――系列化の反作用はどう出てくるだろうか。



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