東日本大震災から1ヵ月半、福島第一原発の収束は見えずサプライチェーンの復旧もまだ緒についたばかり。流通小売業では商品の品薄感は解消されてきたものの、大震災が流通小売の姿を変えていく転機になるという見方は強い。そこで、セイコーマートの丸谷智保社長に道内流通小売業の変化とセイコーマートの対応を聞いた。(写真は丸谷智保社長)
――東日本大震災は、道内の流通小売業にとってどんな影響を与えますか。
丸谷 短期的にはマインドが落ちるのでデパートを含めて流通小売についてはマイナス要因になる。消費を抑えるとか、溜め込んだもので生活していくスタイルになるだろう。SKU(在庫保管単位)が不足しているから、消費者も『欲しいけどないんだったら我慢しよう』というようになるからだ。これは、人間の本能として働くのではないか。なぜそんな本能が働くかというと、次に来るのは増税だからだ。本能的に分かるんだと思う。
それに被災した人たちの映像を見ていると、自分たちだっていつそうなるのかわからないし、日ごろの贅沢は控えようと。
――道内ではディスカウンターやホームセンター、家電量販店などで調達が難しくなるという見方が出ていますが。
丸谷 ディスカウンターでは商品供給に汲々としているところがある。もともとディスカウンターはどこかで余った商品を調達するビジネスモデルですから、あっちで調達、こっちで調達というように調達先が一定していない。震災後のように在庫が少なくなって品薄感が出てくると商品が余らなくなる。ホームセンターや家電量販店で食品を販売しているチェーンでは物流ルートがすぐ途絶えるのではないか。
――セイコーマートは製造部門もグループ内に有しており、こうした自社製造した商品の外販を強化できるのでは。
丸谷 食品スーパーに自社製造した商品を供給することはやぶさかではない。直ではなくても帳合を入れながら供給することも可能。道内なら我々の作っているRB(リテールブランド=プライベートブランド)で余力のある商品は出していける。RB商品だが、OEM(相手先ブランド)商品としても供給できる。
――道内だけでなく全国の他のコンビニ、スーパーに対してRB商品のOEM供給というのも可能ですか。
丸谷 製造小売として道筋は相当に整ってきたので、グループで製造しているものについては、今後は品数を増やすよりも中身を充実させて、必要であればNB(ナショナルブランド)化したりOEM供給する戦略が次ではないかと考えている。グループ内で製造している全部の商品をNB化、OEM供給することはできない。工場がそんなに大きいわけではないし、セイコーマートの道内店舗が1000店舗から1200、1300店舗に増えたときにまだまだ供給体制として足りなくなる可能性がある。
NBになると相当まとまった分量を作らなければならないので、それなりのリスクが伴う。何でもかんでもというわけには行かないが、製造するものについてのフォーメーションは持ったと考えており、できるものからNB、OEMに乗り出していきたい。