アークス横山社長が2016年を洞察!②「勝ち組以外とも手を組む」

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 2016年の年頭を飾るアークス横山清社長インタビュー第2弾は、アークスの今年のスローガンに込めた想いを語ってもらう。注目されるフレーズは、《髙志の盟友と結ぶ新幹線。》――。盟友はこれまでグループ内企業同士の盟友関係を意味していたが、今年の“盟友”はグループ以外でも髙い志を持った企業経営者と盟友関係を結ぶことを宣言したものだ。そこに3月26日開業の北海道新幹線を組み入れた。「勝ち組にこだわらず、勝つ可能性の高いスーパーとも手を組みアークスグループの成長スピードを新幹線のように速くする」との想いを込めた。IMG_0727(写真は、2016年のスローガンを指差すアークス横山清社長)

「今年のスローガンは、《損得より善悪 真心こめ美味 新鮮適価で髙志の盟友と 結ぶ新幹線。》とした。『損得より善悪』と付けたのは、ピケティの著作や『食の終焉』、『99%の反乱』などを読み、やはり我々がずっと考えてきたような所謂、“力とシェア”だけの資本主義ではまずいのではないかと改めて感じたからだ。商売というものは、真心こめて“三方よし”でなければいけない。ビジネスは何をやっても良いのではなくて、善から発しなければならない。その意味を込めて少々古臭いが必要なものとして『真・善・美』をスローガンに散りばめた」
 
「『損得より善悪』という一節は、15年前に雪印事件が起きた翌年の新年スローガンに使ったフレーズで今年再登場させた。昨年の東芝、旭化成建材などの偽装事件のように損得、善悪に絡む企業の不祥事は今年以降もっと顕在化してくると思う」
 
「良いものは、美味しくて新鮮。鮮度には、売場の鮮度のように好奇心が湧くような物珍しい商品があるという鮮度も含まれる。値段については、最初に『廉価』と書いてみたがしっくりこない。それで造語だが『適価』にした。最適な価格という意味だ。『真心』とは、嫌々ながら働いている人ではなく、流通業が好きだという人をたくさん作り、そういう人たちがこの仕事に向き合えば『真心』がこもるという意味だ」
 
「続く『髙志』は、2015年にも『高志、信頼、団結』としてスローガンの一節に入れたが、今年も『髙志』を使うことにした。ただ、違うのは、これまではアークスグループの仲間内だけのことだったが、今年はグループ外の『高志』=『髙い志』を持つスーパー経営者との盟友関係も構築することを目指している」
 
「三浦紘一会長(ユニバース社長)にこう言われた。『勝ち組としか手を結ばないと言っていたら、どんどん大手流通企業の傘下に入ってしまう。グループ企業を増やすスピードを上げないと』。そのため、今は勝ち組ではなくても勝つ可能性が高く、食のライフラインをしっかり守り、これが生涯の仕事だと考えている経営者、従業員を持った仲間を盟友としてスピード感を持ってグループ企業を増やすことにした」
 
「『盟友と結ぶ新幹線』としたのは、今年3月26日に北海道新幹線が開業することで東北と北海道が繋がりアークスの事業にも大いにプラスになることを示しているが、それ以上に盟友たちのグループ入りを新幹線のように早く実行することも示唆した。最初に考えたのは、『新路線』だったが、それを『新幹線』に変えた。我々のコンセプトのスピードが今年は一気に上がるだろう」
 

「流通業の新しい世界を作るために昨年は『目指せ1兆円』というフレーズを入れた。今年のスローガンには入っていないが、『トライ・ワントリリオン』(注・1兆円の意味)として今年も継続して挑戦し続ける。1兆円達成は10年計画なので、あと9年しかない。3年刻みでホップ・ステップ・ジャンプで到達させるためには、1年に500億円ずつ増やさないといけない。1店ずつ増やしていてはとても間に合わない。ある条件こそ満たされれば、まだまだ健全にやっていける仲間は全国にいっぱいいる。ホントの意味で今年からは『そのうちに…』と言っている相手に対しては『やるか、やらないか』で判断していきたい」
(以下、次回に続く)

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