食品スーパーVS食品卸これから始まる「販売奨励金」のハードな交渉

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食品スーパーはグローサリー商品などを食品卸会社から仕入れているが、これから年末の季節になると、食品スーパー各社は食品卸会社に対して販売奨励金の要請を始める。
販売奨励金はリベートとも言われるもので、食品卸会社などが食品スーパーに支出する報奨金と位置づけられる。この金額の多寡が食品スーパーの業績に影響するだけに食品卸会社とのハードネゴシエーションがあちこちで繰り広げられそうだ。


グローサリー商品とは、生鮮食品以外の食品類のことで、国分や菱食、日本アクセス、加藤産業、伊藤忠食品、三井食品などが食品卸の大手。
最近は、こうした大手卸会社が経営効率化のために地方への配送を選別しており、地方の中小食品スーパーではグローサリー商品が手に入らないという事態も起こっている。このため、地方の中小食品スーパーでは全日食に加盟して仕入れルートを何とか確保しているところもある。
大手食品卸が、こうした地方中小スーパーの切捨てとも言える行動を取っている一方で、大手食品スーパーには販売奨励金を支出して手厚く扱っている。
「大手食品スーパーは、仕入れる量が我々とは比較にならないほど多いから、食品卸も納入先を失いたくないため販売奨励金を支出することで大手食品スーパーの要請に報いようとしている。ただ、この販売奨励金は成長が見込めたから捻出できたもので、デフレで低成長の中にあって、いつまでも続くとは思えない」と疑問を抱く中堅食品スーパーもある。
食品スーパーへの納入額が対前年比で100%を超えた場合に限って販売奨励金を出す食品卸が多い中で、100%を超えなくても、納入ロットが多い大手食品スーパーには販売奨励金を出しているケースもあるという。
食品スーパーを取り巻く環境は年々悪化しており、今年は特に激安化が進行、8月の中間決算では赤字企業が続々と出ている。これから年末の書き入れ時を迎えるが、競争激化と激安化、それにポイント競争で食品スーパーの利益確保は並大抵ではない。それだけに、食品卸vs食品スーパーの販売奨励金を巡る交渉は、例年以上に難渋を極めそうだ。

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