コープさっぽろ財務の「見える化」、子会社繰越損失275億円本体取り込み

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 コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は、子会社に塩漬けになっていた約226億円の繰越欠損金を本体に取り込み、今後7年間で処理、子会社を含めたコープさっぽろグループの財務健全化を進めることになった。50周年を迎えて業績好調で2016年3月期の経常剰余(経常利益)は50億円と過去最高となり今後も50億円超の安定的利益が出せると判断、一気に財務健全化に舵を切ることにした。IMG_7936(写真は、コープさっぼろ本部)

 コープさっぽろは、1990年代後半にそれまでの「ダイエー的出店スタイル」(業界通)がたたって赤字体質に陥った。折しも釧路市民生協が破綻、組合債の一部が紙くずになり、経営難になっていたコープさっぽろにも組合債の取り付け騒ぎが及ぶ懸念が発生。北海道発の生協危機の連鎖を怖れた日本生活協同組合連合会(日生協)は98年に100億円の融資を決定、理事長も日生協から派遣され事実上、日生協管理下に置かれた。2代続けて日生協出身理事長が続き、資金支援の下で「おいしい店」路線で店舗活性化を進めるなど経営再建、財務健全化を急いだ。
 
 2007年に日生協からの借入金を全額返済、過去の繰越赤字や不採算子会社の整理費用などを繰越損失を含んだ要処理額が子会社を含めたグループ全体で約411億円残っていることを公表。07年以降、本体や子会社の繰越損失解消に取り組み、15年3月期までに約100億円を圧縮、グループ全体の要処理額合計を約323億円にした。
 
 今回、30数店舗の不動産などを持つコープ協同開発、コープ協同不動産、道環の3社分の繰越損失約226億円を本体に取り組み、毎年段階的に利益で解消していくことにした。具体的には、子会社3社の不動産等を時価でコープさっぽろが買い取り(約50億円)、出資金や貸付金などと相殺した残り約275億円をコープさっぽろ本体の繰越損失とし、貸借対照表で貸倒引当金に全額計上する。
 
 コープさっぽろは、9月の理事会で子会社3社を整理する決議を行っており、その後、官報に公告を記載、2ヵ月間の異議受付期間が終了したため12月中に札幌地裁に特別清算の申し立てを行う予定。
 コープさっぽろの今期経常剰余は約50億円以上になる見込みで法人税調整額約62億円が見込めるため当期剰余金(当期利益)は約96億円になりそう。本体の繰越損失はこれまでの約187億円に今回の処理によって約275億円が加わって約472億円になるが、当期剰余で圧縮することによって繰越損失は約360億円になる。

 なお、損益計算書の上ではキャッシュフローはゼロということになるが、実際には減価償却による約40億円のキャッシュフローが発生、設備投資などに回すことができる。

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