道内スーパー業界は、激安価格の浸透で、どのスーパーも利益を出せない状況が続いている。本業の店舗収益が落ち込む中で流通戦争は「末期の末期」という状態だ。「いっそ、店を閉めて戦いが終わった後に店を再開したほうが良いかも知れない」というスーパー経営者の声もあるくらいだ。
札幌市内で卸売スーパー8店舗を運営している津司の津司耕太郎社長は、「関東ではコストコやテスコ、メトロなど海外DS(ディスカウンター)が旋風を巻き起こしている。東京の嵐はやがて北海道に上陸してくるだろう」と予測する。
冒頭に書いたように、道内、とりわけ札幌市内は利益なき繁忙が続いている。減車が決まったタクシー業界ではないが、スーパー業界も減店しなければ共倒れも現実のものになり兼ねない状態だ。
そんな渦中に外資が本格的に攻め込んできたら、札幌市内には食品スーパー淘汰の嵐が、暴風雨となってなぎ倒していくかも知れない。
札幌市内の外資の中で最も脅威と見られているのが西友。ウォルマートの子会社だが、これまでの西友はまだ日本的スーパーのカラーを温存していた。しかし、米国流のウォルマート化が一気に進めば、札幌市内で激安戦争をリードしているトライアル、ザ・ビッグさえも上回る超激安化が進行する可能性は高い。西友は札幌市内9店舗を展開しており、その衝撃はまさに突風となって食品スーパーを襲っていくことは想像に難くない。
津司社長は、「今のスーパーはいずれ崩壊する」と予測する。新しい環境に適応したスーパーがいずれ登場してくると見ている。「衣料品のユニクロ、家具のニトリ、電化製品のヤマダ電機が業界を突き抜けて新しい業態を形づくってきたが、スーパーは30年前と変わらない業態が続いている。東京に出始めたスーパーの変化は食品スーパーのユニクロやニトリ、ヤマダ電機の出現を後押ししていくだろう」
津司社長は、仁木町のりんご農家の次男。札幌で実父が始めた八百屋を38歳で継ぎ、43歳で食品スーパー「りんごハウス」を展開、10年前には「卸売スーパー」に業態を変更。そして5年前からフランチャイズ展開と問屋機能を付加した。60歳になった今年、津司社長は「こんな時代が来るとは思わなかった」と語っている。
予測を超えた現実に、食品スーパーの呻吟はいつまで続くのか、いや続けられるのか。