預金量が1179億円で道内にある23信用金庫の中で預金量規模では下から3番目の渡島信金(本店・森町)が、道南にある3信金の中で札幌進出一番乗りを果たした。
渡島信金は、道内の信金の中で最も歴史が古く、水産物の販売を目的に設立された市街地協同組合が前身で、今年は創業100周年の節目の年。札幌支店の開設は、100周年を記念したものだが、単に信金業務を行う支店開設だけでなく、道南地域の特産品ブランドを展示・実演・販売を行う産直アンテナショップの役割も持たせている。


信金の本店や支店内にこうしたアンテナショップを置くのは珍しく、地域経済に血液を供給する地域金融機関として地域密着を強くアピールする狙いもある。
渡島信金の伊藤新吉理事長は、理事長職を15年務めており道内信金理事長の中で在任期間では、江差信金の渡邊捷美理事長と一、二を争う長期政権。それだけに、渡島信金は伊藤理事長の個性が色濃く反映しており、札幌支店内にこうしたアンテナショップを設けたのも伊藤理理事長の発案によるものだ。
アンテナショップは、渡島・檜山管内の18市町の地域ブランドが展示されているが、ここを運営しているのは南北海道地産物流協同組合。渡島信金が札幌支店内の開設に合わせて設立を働きかけた異業種交流の協同組合。組合員は、いかめしで有名な森町の阿部商店、いなみ食品工業、大釜谷内牧場、せたな町のマーレ旭丸、鹿部町の丸鮮道場水産、函館市のり丁能戸水産、北斗市の緑友会六輪村など24社が加入している。
海産品や畜産品、調味料、工芸品などが展示されている。
このショップでは、毎月第1、3の土日に地元の旬の食材や加工品などを展示販売する特産市も開催する。オープニングイベントは10月16、17日の土日で、両日の正午からは「戸井マグロの解体ショー」が実施される。また、おぼろ昆布やかまぼこの実演販売も2日間行われる。
伊藤理事長は、「垣根を超えて道南地域の地域ブランドを発信していきたい」と言う。オープニングの挨拶の中でも『垣根を超えて』というフレーズを強調したが、これは『信金の営業エリアの垣根を超えて』道南全体の発展を目的にしているという意味だ。実際、このアンテナショップに展示されている特産品の半分は渡島信金の営業エリア外のもの。
伊藤理事長は、「小さい信金でも大きなことをしたい」と繰り返し述べており、道南全体の発展が北海道を元気にする原動力になると確信しているようだ。
冒頭に書いたように、道南には渡島の他に、函館(本店・函館市)、江差(本店・江差町)の2信金がある。函館信金は3期連続赤字、江差信金も一昨年の大型不良債権の発生で体力は十分に回復していない。
伊藤理事長が『垣根を超えて』と強調した裏には、道南3信金の再編が描かれているのかも知れない。
(写真は、渡島信金札幌支店に併設された道南地域の特産品アンテナショップ)

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