コープさっぽろが、二酸化炭素の搬出量を半減できる食品スーパーの店舗「西宮の沢店」を10月1日にオープンさせた。食品スーパーの店舗と言えば、如何に消費者に商品を買ってもらうかが勝負で、価格を下げることはもちろん見栄えや買いやすさを工夫してライバル店よりも少しでも多く売り上げることを主眼にしてきた。
早い話が一に売り上げ、二に売り上げ、三、四がなくて五に売り上げという売り上げ至上主義が食品スーパーのレゾンデートルなのである。
そこにいかにも生協らしい「環境」というキーワードを前面に出して、消費者のエコ意識を刺激しつつ売り上げを確保しようというキワものの店舗を誕生させたわけで、これが吉と出るか凶とでるか、ライバル店だけでなく業界関係者も注目している。
最大の特徴は、木造店舗であるということ。道産カラマツを柱や梁に使っており、鉄骨を使った従来のスーパーよりも建設時での二酸化炭素排出量が35%削減できるという。鉄を作るには二酸化炭素排出が避けられないが、木材は逆に二酸化炭素を吸収するため、素材の出自にまでさかのぼれば、建設時点での二酸化炭素排出が抑えられている。
また、店内の空調や照明、冷凍・冷蔵ケースには太陽光発電やノンフロン冷媒を使った機器など、最先端の省エネ・省資源機器が設置されており、運用時でも二酸化炭素排出を半減できるという。
コープさっぽろが西宮の沢という札幌市の郊外を出店場所に選んだのは、西宮の沢・発寒周辺がコープ店舗の空白地帯であることと、たまたまその立地が消防法の適用を受けない無指定の土地だったためだ。
環境配慮型の国内初のエコ店舗ということで、コープさっぽろの意気込みも相当強いと考えられるが、大見英明理事長は意外にも冷静に捉えている。
環境をキーワードにした新たな消費のトレンドを作るというくらいの前のめりの姿勢は見えない。むしろ、苛烈化する食品スーパー業界の中で環境というキーワードがどの程度消費者に受け入れられるのかが慎重に見ているようだ。大見理事長の冷静さは自身の中にも確たる勝算があるわけではないことを如実に示しているようだ。
この一歩引いた姿勢は、逆にエコ店舗が大化けする可能性を示唆しているように見える。
(写真はコープさっぽろの西宮の沢店)