道内食品スーパーの社長が現役のまま死去したが、この死が自死ではないかという噂が広がっている。関係者は口をつぐみ、真相は闇の中だが、食品スーパー業界は熾烈な競争を繰り広げ、生きるか死ぬかの瀬戸際に立っている。自死説には客観的な条件が整っているように見える。
この食品スーパーは、道内の地方都市で数店舗を展開している地元では老舗のスーパー。最近、大手スーパーのグループに入ったことで注目を集めた。道内の食品スーパーは大手3強が勢力を拡大しているが、これに伴って地方都市で展開している地方の中小スーパーは苦境を強いられている。
足元の人口が減少し高齢化が進む地方都市では、先行きの消費拡大が見込めない。地方で展開している中小スーパーに商品を供給する卸会社もある程度まとまった数が揃わないと、商品供給そのものをストップするなど、地方の中小スーパーは大手スーパーのグループに入らなければ、商品が調達できない事態に直面している。
そんな背景の下に大手のグループには入ったのが、件のスーパー。グループ入りによって金融機関や卸会社などに広がっていた信用不安も解消、さあこれからというときに社長の突然の死去。死の真相は分からないが、食品スーパー業界で広がっている自死説を打ち消すだけの材料があるわけでもない。
数年前には、同じく地方都市で食品スーパーを展開していた企業の社長が死去、この時は自死ということがはっきりと示された。大手スーパーに身売りし、名士として知られた社長に残ったものは、馬主としても知られた過去の栄華でしかなかったのかもしれない。
自死を選ばざるを得なかった苦悩はどれほどの深さがあるのか、他人には窺い知れない。しかし、生きていれば人の温かみに触れることもできただろう。
食品スーパー業界のトップの突然の死は、何を物語っているのだろうか。