アークス(本社・札幌市中央区)の子会社、道北アークス(同・旭川市)は地盤の道北や道央で5月から小型店の出店を開始する。5年後に50店舗に増やし、小型店だけで150億円の売上げを計画している。道北アークスの六車亮社長(61)に小型店展開の勝算などについて聞いた。(写真は、キョクイチが建て主になって建設、稼働した道北アークスのDaMC)
――小型店展開に踏み切るのはなぜか。
六車 旭川市流通団地内の旭一市場内に総合物流センター『DaMC』(ダマック=ドーホク・アークス・マザー・センターの略)を3月1日から稼働させているが、配送機能とともに水産・食肉商品を加工するプロセスセンター(床面積約5800㎡)も設置した。また、昨年取得した惣菜工場(まさるや)も能力増強工事を終了、5月から本格稼働する。水産、畜産、惣菜のパック製造の体制が整い、バックアップ体制ができたので小型店展開を積極化することにした。
――なぜ小型店なのか。
六車 中型店や大型店を出店したいが、旭川市内では出店する土地が殆どない状況だ。道北の地方町村では中・大型店を作ってもペイさせるのは難しい。空き店舗を利用した小型店なら出店コストは少なくて済み、生鮮三品のパック商品を外部で集中的に作って搬送すれば店舗の運営コストも低く抑えられ採算に合う。
――出店が決まっているのはどこか。
六車 5月12日に愛別町、16日に上川町に出店するが、いずれもAコープ店舗跡への居抜き出店だ。また、6月1日には比布町の個人商店跡に出す。
――小型店のフォーマットはどんなものか。
六車 面積は50~300坪の範囲で面積には特にこだわっていない。極力低コストで運営するため、従業員1人当たり20坪を見られるようにする。売上げは面積によって異なるが年間2~4億円の範囲を想定している。バックヤードは持たないのが基本で従来の食品スーパーとは発想を変える。小型店では温める程度の作業に抑える。コンビニエンスストアとは競合しないと考えている。
――出店場所や出店ペースはどう考えているか。
六車 出店場所はプロセスセンターや惣菜工場から1時間半で運べる距離ならどこでも可能だ。道北はもちろんだが、ラルズ(札幌市)が小型店を出せない新篠津町や南幌町、三笠市、夕張市などにも出店したい。ただ、新たな競争をするつもりはなく競合店があるところには出すつもりはない。買い物難民を解消することによってアベノミクスの地方創生にも寄与できる。
――出店計画は?
六車 1年間で10店舗、5年間で50店舗が当面の目標だ。一方、既存店でも水産、畜産、惣菜のインストア作業を半減させ、残り半分をプロセスセンターや惣菜工場からアウトパック商品として搬送する。これによって既存店の店舗運営も低コスト化できる。
――売上げ計画はどうか。
六車 5年後に小型店50店舗体制で年間約150億円を計画、また中・大型店の新規出店やリニューアルによる活性化で50億円を予定、現在の年間売上高約470億円を670億円に引き上げる。
――最後に旭川地区の流通環境はどうか。
六車 道内の他地域に比べ食品スーパーの新規出店がなく、比較的競争環境は落ち着いている。JR旭川駅前にイオンモール旭川駅前がオープンしたが、中心部であるため影響は限定的だろう。いずれにしても働き手不足で慢性的に人手不足の状況。当社がプロセスセンターや惣菜工場を増強したのは、店舗での人手不足を補う意味もある。