2015年のキリングループ北海道地区事業方針が27日に発表された。札幌市中央区の札幌プリンスホテル国際館パミールで行われた会見では、グループ全体の取り組みとしてどさんこマーケティングを標榜、「どさんこの素材活用」、「どさんこ人材活用」、「どさんこへの貢献」を3大テーマに取り組んでいくとした。7月1日のキリングループの日に合わせて全道の量販店でフェアを立ち上げる準備を進めているほか、北海道千歳工場の操業40周年感謝企画として限定の「一番搾り」を5月に発売。また、キリンビバレッジでは全国レベルでどさんこの素材を使った新商品を発売、どさんこの食材の良さ、美味しさをキリン商品とのマリアージュで楽しむ北海道食材と「午後の紅茶」のクロスMDも展開していく。(写真は、北海道のキリングループ2015年事業方針発表の会見。左端が佐部成彦キリンビールマーケティング執行役員北海道統括本部長)
キリンビールマーケティングは、昨年2月に「一番搾り」をリニューアル、下半期から「名水百選仕込み北海道産」のコミュニケーションを始めた。同社の執行役員で北海道統括本部長の佐部成彦氏は、「一工場の素材にスポットをあてたエリアコミュニケーションはキリングループとして初めてだったが、本社でもエリアコミュニケーションの大事さを理解して、今年は千歳工場だけでなく全国9工場でいろいろな『一番搾り』を作って行くことになるだろう」と語った。
昨年上半期は、消費増税による苦戦を強いられたが9月以降に全国レベルで商品施策、販促施策を充実させたため第4四半期では挽回。その結果、2014年の道内実績は、「一番搾り」が0・4%増とプラスになったが、ビール・発泡酒・新ジャンル合計で前年比7・3%減を強いられた。特に新ジャンルは「のどごし」の不振に加え、一昨年に発売した「澄みきり」の裏返しで16%減。一方、缶チューハイに代表されるRTDは市場の伸びを超える13・6%増になった。
2015年は、ビールは「一番搾り」を引き続き最注力ブランドとして育てていく方針。千歳工場限定の「一番搾り」発売や3月には「小麦のうまみ」という季節限定の一番搾り新商品を発売する。「いろんな一番搾り商品を発売していくことで、キリンだけが市場に投入している一番搾り製法の素晴らしさをお客様に認知してもらいたい」(佐部氏)。
発泡酒、新ジャンルについて、「淡麗」は3月に極上生として発売以来最大のリニューアルを行うほか、「のどごし」は2月にリニューアルする。発泡酒、新ジャンルの中に機能性商品をカテゴリーに加えているが、中心的な商品として「のどごしオールライト」を26日から市場投入した。これは世界初の糖質ゼロ、プリン体ゼロ、カロリーオフの商品。昨年、税法上の問題で競合他社の商品が新ジャンルから発泡酒への変更を余儀なくされたが、この「のどごしオールライト」は新ジャンルで市場投入ができ、昨日から全道のスーパー、コンビニエンスストアの店頭で販売を始めた。
「機能性カテゴリーをキリンの強みにしていきたい、『淡麗グリーンラベル』『淡麗プラチナダブル』に加えて『のどごしオールライト』で機能性商品の中でも確固たる地位を築いていきたい」と佐部氏は力を込めた。
昨年に大きく販売を伸ばしたRTDは、今年度も大きな伸びを予定しおり、「氷結」、「本搾り」に昨年発売した「ビターズ」に注力、中でも「ビターズ」は度数8%に加えて4%のものも発売、さらに新商品も投入していく。
昨年から始めている名水百選を守る社会貢献活動として、今年度は千歳工場でも利用している千歳市のナイベツ川の湧水、美深町の仁宇布の冷水と十六滝の保全のために寄付活動を行っていく。また、4年前から北海道農産物を使ったカクテルコンクールを実施しており、昨年からはコープさっぽろの協力も得て一般の部も開催しているが今年も展開していく予定。
今年度は北海道全体の市場が1%程度の微減になる予測の中で、キリンビールマーケティングは「一番搾り」を中心としたビールで販売を伸ばし全体で若干のプラスを狙っていく考え。RTDも市場の伸びを上回る二桁近い伸びを目標にしている。
メルシャン、北海道キリンビバレッジの事業方針は次回に紹介する。