流通小売業界にとって12月は1年間の総決算とも言える特別な月。クリスマスやお正月商戦など消費者の財布の紐も12月だけは緩むとされ、この月の売上げは流通小売各社の1年間の通信簿とも言われる。そこで14日までに出揃った上場している道内食品スーパー、総合スーパーの12月売上げから通信簿を覗いてみよう。2014年の12月は13年より日曜日が1回少なかったこともあるが、各社の成績は斑(まだら)模様である。(写真は、マックスバリュ北海道が展開する釧路市のザ・ビッグ川北店)
総合スーパーのイオン北海道は、前年12月比で96・9%(既存店)。衣料部門は93・8%、住居余暇部門(家具・文具・サイクル・携帯電話・ホームファッション・ヘルス&ビューティケア)は95・6%、食品部門は98・7%でいずれの部門も前年を割った。
食品スーパー10社を傘下に持つアークスは、既存店が97・3%でこちらも前年12月を超えられなかった。客数も96・7%。2014年の1年間で既存店が前年を上回ったのは2月、3月、8月、11月の4ヵ月。残り8ヵ月間は水面下で競合他店にお客をとられている状況が続いているようだ。
ダイイチの既存店は102・0%で前年超えを果たした。客数は97・3%と前年を割っているが、客単価が104・9%とアークスの100・6%などと比べても大きく伸びたことが売上げ増に結び付いた。食品スーパーではトライアルの道内7店舗新規出店による影響で買い上げ点数が減る傾向にあるが、ダイイチは買い上げ点数を伸ばしていると見られる。
マックスバリュ北海道は既存店が104・1%とこちらも好調を持続。14年の12月は日曜日が1回少なかったが、11月は逆に日曜日が1回多かったため、同社の既存店売上げの2ヵ月平均を取れば105%程度で、これが現在の同社の実力と言えそうだ。地下鉄値上げや電気料金値上げの影響で節約志向は強く同社のディスカウント業態である「ザ・ビッグ」は好調を続ける。「ザ・ビッグ」でも正月商戦に対応したプチ高級品も揃えたことから客単価も上昇した。
北雄ラッキーの既存店は98・6%。ハレの日商材は100%を超える水準だったがグローサリー商品を中心に振るわなかった。衣料品は回復傾向にあるという。12月のトピックスとしては、同社が建て替えした旗艦店の「山の手店」(札幌市西区)が同社店舗の中でトップの売上げを確保した点。これまでは地方の「シティ」各店がトップだったが、今回は山の手店で神戸牛が一時品切れになるなど好調だった。建て替えによって商圏も広くなったこともトップ売上げの要因になったようだ。
このほか非上場だが、コープさっぽろの既存店は97%程度だった。1998年のコープさっぽろの経営危機以降、18年連続で既存店成長を続けてきただけにコープさっぽろは12月の前年割れという事態に危機感を強めている。
以上、1年間の通信簿を見ると、2014年の◎はダイイチとマックスバリュ北海道、△はアークス、北雄ラッキー、コープさっぽろ、それにイオン北海道ということになる。