石屋製菓(本社・札幌市)が、北広島市に新工場を建設する。JR北広島駅に近い約7000坪の土地について既に全日本食品(同・東京都足立区)と売買契約をしており8月末に引き渡しを受ける。2017年春の稼働を目指し主力商品の「白い恋人」や「「美冬」を生産、現工場(札幌市西区)は観光工場としてアミューズメント機能を高める。(写真は、全日食の北広島センター跡地=2014年7月19日撮影)
石屋製菓が売買契約した土地は、中小のミニスーパーに向けて商品供給や店舗指導などを行っている全日本食品(略称・全日食)の所有地。元々は、道内の中小スーパー向け食品ボランタリーチェーン本部だったHGC(同・札幌市)が物流倉庫の北広島食品センターとして利用していた。HGCは12年に経営が頓挫し事業を全日食が継承、それ以降は建屋、設備とも使われていなかった。
全日食は、この遊休資産を売却する方向で買い手を探していたが、住宅部材の加工組み立て工場(ダウ化工)と住宅地に挟まれた場所で機械系や化学系工場はなじまずマンション等も工場隣接地ということで敬遠された模様。騒音や廃棄物の発生が比較的少なく、戸建て住宅地との段差を利用すれば周辺の環境への影響が抑えられる食品系工場が最適としては売却先をリサーチした結果、菓子工場の増強に迫られていた石屋製菓と6月に売買契約に至った。
全日食は、契約後の6月からアスベスト飛散対策を施したうえで建屋の解体作業に入り7月初旬には更地に戻したが、さらに整地作業を施して8月末に石屋製菓に引き渡す。売却額は7億5000万円。
石屋製菓は、現工場の生産ラインを移設して新工場を建設、7割程度の生産能力を北広島に集約させる意向。現工場は「白い恋人パーク」と共にアミューズ機能を充実させた観光工場として利用を図っていく。
石屋製菓の現工場は、1992年に操業を開始した主力工場。石水勲会長が社長時代に建設を決断、その後の石屋製菓躍進の原動力になった。東南アジアからの観光客を呼び込む「白い恋人パーク」の建設など菓子メーカーの枠にとどまらない北海道ブランドの発信基地の役割を担っている。
今回、北広島市に新工場を建設することを決断したのは、昨年新社長に就いた長男の創氏。石屋製菓が新たな発展のステージに登ることができるかどうか、創社長の手腕が問われることになりそうだ。