IMG_9066IMG_9075IMG_9080IMG_9081 農水省の委託で6次産業化サポートセンターを開設している一般社団法人北海道中小企業診断士会(森永文彦理事長)は26日、KKRホテル札幌で6次産業化シンポジウムを開催した。生産者や加工業者、流通業者など約70人が参加、農畜産物にどう付加価値を付けて売っていくかのヒントが示された。シニア野菜ソムリエの萬谷(ばんや)利久子(りくこ)氏は、基調講演で「消費者に『なるほど、それならいいね』と言わせるだけの提案力とアイデアが必要」と強調していた。(写真上段左から萬谷利久子氏、橋口とも子氏。写真下段左から佐々木身智子氏、石井宏和氏)
 
 萬谷氏の講演テーマは『いいね!と言われる商品づくり~生産者の強みを活かしたい~』で、野菜ソムリエとして活動する萬谷氏が生産者と交流する中で見えてきた消費者に支持される商品の共通項を訴えた。
 
 萬谷氏は商品訴求力と消費者の感性がマッチすると支持が広がるとして1本の蜂蜜とワインビネガードリンクを紹介。「1本の蜂蜜は、蜂が一生に創る蜜を棒状にしたもので物語性が分かりやすく感性に訴えてくるものがある。一方、ワインビネガードリンクは体に良い飲み物だが、消費者の反応は『美味しすぎて本当に体に良いのか』と言うものだった。感性がずれているとヒットしにくい」と語った。
 
 また、技術革新で機能性を謳いすぎると消費者の気持ちが離れると述べ、「消費者は欲しいものが具体的には分からない場合があるので、その商品を見て消費者が頭の中にいくつも吹き出し=連想がイメージできるものが支持される商品になる。カットしたジャガイモや玉ねぎならカレーやシチューしかイメージできないが、10種類の野菜類やグリーピースを入れるとイメージは膨らむ。提案力、アイデア力が勝負」と訴えた。
 
 その後、トマトに焦点を当てたシンポジウムが行われ、そばの実とトマトを混ぜたソースを生産している橋口とも子さんは「日本のトマトは甘さを追求しているが米国では酸味と甘みのバランスのとれたトマトが人気。いずれ日本もそういう方向に向かうのではないか」と語った。
 
 ITコーディネータで事業活性化アドバイザーの佐々木身智子さんは、「美味しい、安全なトマトと言うだけでは差別化できない。なぜ美味しいのか、なぜ安全で安心して食べられるかまで突っ込んだ説明ができないと消費者は支持してくれない」と生産者の哲学や信念を反映させる工夫が必要だとした。
 
 また、食と農に関する企画や流通開発を事業化しているneeth(ニーズ)代表取締役の石井宏和氏は、自身の事業を通して5つの要素が必要として、①コンセプト設計がしっかりできていること②ターゲットになるお客の顔が見えていること③流通プロセスに必要な資材、箱などが用意できること④生産者の顔を出すなどプロモーションツールを作れること⑤生産者と我々の間でパートナーシップがしっかりと組めること――を提示した。
 
 シンポジウムの終了後には、生産者など約50人が参加して交流会も行われた。


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