IMG_1273IMG_1280IMG_1293IMG_1298 設立30年を迎える札幌の異業種交流会「一への会」(会長・渡邊克仁北都交通社長)は13日、京王プラザホテル札幌で「2014北海道ニューフロンティア経営セミナー」を開催した。同会が年に1回開いているオープンセミナーで約800人が参加。『グローバル社会における北海道の生きる道』をメーンテーマに、フジドリームエアラインズ(FDA)の内山拓郎副社長、外交ジャーナリスト・作家の手嶋龍一元NHKワシントン支局長、ライオンの藤重貞慶会長・CEO(最高経営責任者)がそれぞれ講演した。(写真は左上から時計回りに、渡邊克仁氏、内山拓郎氏、藤重貞慶氏、手嶋龍一氏)
 
 FDA鈴木与平社長が急病のため、代わりに演壇に立った内山氏は『鈴与グループにおける地域との共生』をテーマに講演。内山氏は日本郵船に勤務していたころから、鈴与から同じく日本郵船に出向していた鈴木社長とは昵懇の間柄。内山氏が日本郵船子会社の日本貨物空港社長、会長を歴任した後の2008年に鈴木社長の要請でFDA入り。09年から副社長に就いている。
 
 内山氏は鈴与グループの200年に亘る歴史や事業の広がりについて説明、1922年6代目鈴木与平社長の時に社会や顧客、社員の『共生』(ともいき)が社是になったことを紹介した。FDAの現状について、「09年にスタートした2機4便の搭乗率は44%だったが、13年度は8機13路線23便になり搭乗率は70%になるだろう。毎年5%ずつ搭乗率がアップしているが収支はまだ一歩、あと2~3年かかりそうだ」と述べた。
 
 また、今年6月28日から9月20日まで阪急交通社のチャーター便が名古屋~丘珠間を運航する予定を示し、「新千歳空港が混雑しており丘珠空港は札幌中心部から近いセカンダリー空港として期待できる」と語った。
 
 続いて講演した手嶋氏のテーマは『激動する国際情勢と日本の針路』。身振り手振りを交えて独特のリズムで話す“手嶋節”に会場は引き込まれた。クリミア情勢について「ウクライナはロシアの兵器廠。ミリテク(ミリタリーテクノロジー=軍事技術)の大国であり、EU加盟ならまだしもNATO加盟になればロシアの軍事情報が流れてしまう。新冷戦と言われているが、本当に熱戦の火が吹くことも十分考えられる」と述べた。
 
 日ロの良好な関係の最大の受益者は北方領土が間近にある北海道であることや、北極海航路によってスエズ開削以来の海の流通革命が起きると、「苫小牧港は釜山港よりも北極海航路の受け入れ先として最も有望。大きなチャンスを持っているのが北海道だ」と強調した。
 外交だけでなく企業経営にも膨大なインフォメーションからダンヤモンドの原石を選り抜き、精緻な分析で紡ぎだすインテリジェンスが不可欠とし、「皆さんの決断の拠り所になるのがインテリジェンス。質の高いインテリジェンスが決断の精度を高めていく」と訴えていた。
 
 最期に演壇に立ったのは藤重氏。『人間の100年。企業の100年。日本の100年。』をテーマに話し、人間の100年として不老長寿7つの習慣を紹介、①仲間と出歩く②そばに女あり③ゲラゲラ笑う④丑三つ時は出歩かない⑤能天気に過ごす⑥何でもほどよく食べる⑦運動はちんたらちんたら――を提案。また、人生観によって寿命が決まるとして、5万人を12年間追跡調査したある自治体のデータを披露、仕事が長生きの一番の秘訣であり、心の動揺を体に伝えないことが大切と述べた。
さらに、口の健康が全身の健康に影響するとして「正しいオーラルケアが全身の健康を保つ。唾液は天然の不老長寿の特効薬。唾液をたっぷり出すマッサージやべろ出しゴックン、1日3回『アー』と発声することも効果がある」と語った。
  
 企業の平均寿命は40年と言われているが、「100年続いている企業には共通のことがある。それは資産や利益より人間に価値を置くこと、操縦と管理の手を緩め失敗を容認する文化があること、学習する組織であること、人間のコミュニティを形成していることなどだ」とした。藤重氏は北海道の100年についても言及し、「日本は間違いなく道州制になり北海道も一つの国として運営されるようになるだろう。政府系や公共資金に頼らないことが事業開発のポイント。新エネルギーでナンバーワン、北東アジアで農産物や観光、スポーツでナンバーワンにそして中軸になるのは健康立国でナンバーワンになること。健康立国というのが北海道にとって今後100年のヘソになる」と強調していた。


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