自民党道連は22日に石破茂党幹事長を囲む政策懇談会を開催したが、焦点となったのはTPP(環太平洋経済連携協定)と北海道農業。参加したのは、各種団体から約130人。石破氏の講演後、近藤龍夫道経連会長が「日本の農業をどう位置づけ、守るとすればどういう方法を考えているのか」と根源的な意見を述べたが、石破氏からは明確な返答がなかった。
石破氏は、食料自給率に触れ、「自給率を目標にしてきたことが政策の誤りを生んだのではないか。求められるのは自給率ではなく自給力。農地の確保維持と人材の確保がどれだけできるかだ」と述べた。
そのうえで、「農業農村所得倍増10ヵ年計画」を出し、5月の連休明けに対策本部を設置するように党として政府に要求していることを明らかにし、「農商工連携による6次産業化こそ重要だ。北海道は農業の6次産業化率が全国47都道府県の46番目と低い。もちろん分母が大きいこともあるが北海道はブランドとして原料のままで売れることもあって取りこぼしが大きい。ソバの生産量は全国一でもソバ粉の生産は一番ではないことを見てもそれは分かる」とし、逆に可能性が一番大きいのが北海道だと強調した。
石破氏は、TPP交渉で守るべきものは守ると訴えたが、参加した農業関係者からは「石破氏の話していることは、従来から繰り返し言われてきたことで、結局お題目だけで中身がない議論。正直がっかりした」と言う。
石破氏の講演後、北農中央会の飛田稔章会長と道経連の近藤会長が意見を述べ、その中で参加者たちの最も疑問に思っていたことを代弁したのは近藤会長だった。
近藤会長は、「安倍政権、自民党は日本の農業を守り通す気があるのか。守るとすればどういう方法で守るのか。それは税負担によってなのか」「攻めの農業というが、国内の消費者に守ってもらえる農業をどう創って行くのか」と語り、政権与党として農業をどう位置づけるのかについて質した。
これに対して石破氏からは明確な返答はなく、参加者の不安と不満は解消されなかったようだ。
日本の農業がTPPに参加してもしなくても、岐路に立っているのは事実。政権与党は農業の将来像を明確に示すべき責務がある。守るのか、守らないのか――近藤会長の核心を衝く意見に答えられないようでは、農業の将来はいつまで経っても見通せない。