駅前通に似合う札幌市電「M101号」、運行60年きょうラストラン

交通・運輸

 晩秋の札幌駅前通に佇む札幌市電「M101号」。木々の装いも雪が近いことを示し、歩道を渡る人の足取りも心なしか早い。2021年10月31日の日曜日、きょう「M101号」は60年の現役を終える。(写真は、札幌駅前通と月寒通の交差点で停まる「M101号」)

 この場所は、札幌駅前通と月寒通(国道36号線)の交差点。外循環で走ってきた「M101号」が信号待ちをしている光景。コロナ禍の緊急事態宣言が1ヵ月前に解除され、この界隈にもようやく人出が戻りつつある午後。クルマの行き交う音や総選挙最終日の連呼が響く喧騒の中を、「M101号」は静かに近づいてきた。

 深い緑とベージュの色合い、丸い前照灯と猫のひげのような白いラインがレトロ感を醸す。この車両は、日本車輛製造(本社・名古屋市熱田区)が1961年製造したM100形と呼ばれる市電。ラッシュアワー対策として連結ができるTc1形とセットで製造され、通称「親子電車」として同年の7月から運行が始まった。子どものTc1形はワンマン化の流れで1970年に現役を終え、現在は交通資料館(札幌市南区、現在は休館中)に保存されている。

 同年から「M101号」は単独運転を開始。当時の札幌市電は、西は円山公園、東は一条橋、豊平8丁目、北は新琴似駅前まで、総延長は約25㎞あった。その後、徐々に路線は縮小され、「西4丁目」と「すすきの」間のみとなっていたが、2015年12月に現在のループ化が実現、駅前通にほぼ40年ぶりに市電が走ることになった。総延長は約9㎞。

 運行開始から60年、札幌の街並みは大きく変わったが、「M101号」は、変わらぬ姿で走り続けた。信号待ちで佇んでいた「M101号」は、信号の黄色い矢印が灯ったのを合図に、カーブに車輪を軋ませながら通り過ぎていった。駅前通と「M101号」の競演が終わる。

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER