札幌交通圏の中堅タクシー会社、光星ハイヤーが26日、札幌地裁に自己破産申請することになったのは、昨年来業界が自主的に続けてきた減車が各社の経営改善に結びついていないことを示している。02年の規制緩和でタクシー事業参入が届出制になったことに伴い、08年度には札幌交通圏のタクシー台数は6726台と01年度の2割に当たる1127台も増加。昨年からは業界が自主的に台数を減らす減車を実施しているが、東日本大震災による観光不振や自粛ムードの高まりで効果は限定的。さらに減車を進めなければ、光星ハイヤーのように経営に行き詰まるタクシー会社が続きそうだ。(写真は、札幌ハイヤー協会などが入る北海道ハイヤー会館)
 
 光星ハイヤーは1949年創業の老舗のタクシー会社。保有台数は昨年6月現在で91台。札幌交通圏のタクシー会社は約60社だが、保有台数順位では15位前後。タクシー業界の適正化・活性化を進めるための特別措置法に基づく業界上げての減車にも参加し、来年9月までに1割強に当たる10台の減車を実施する予定だった。
 
 光星ハイヤーでは、元取締役による5億円以上とされる横領事件が数年前に起きており、この損害が経営に打撃を与えていたが、さらに規制緩和後の競争激化によって事業継続が不能になった。
 
 負債総額は約8億円で運転手ら社員250人は全員解雇された。
 
 供給が需要を上回っているタクシー業界では、法的整理・私的整理が続いている。04年には北都交通(昨年6月末現在111台)と札幌日交タクシー(同129台)が民事再生で新スポンサーを得たほか、10年には札幌キングハイヤー(同15台)が札幌交通圏から撤退して本拠の函館に経営資源を集中することにしたほか、ユニコーン(同52台)も負債額1億5000万円を抱えて事業を停止している。
 
 さるタクシー事業者は、「タクシー会社の中には、社会保険料や消費税を滞納しているところもある。タクシーチケットを受け取った事業者がハイヤー協会で換金しても、そのお金が社保庁から差し押さえられるケースもあると聞いている」と語る。
 
 業界の自主的減車は1割にとどまっており、減車効果は殆ど出ていないのが現状。「3割の減車で02年の規制緩和以前に戻さなければ、倒産予備軍が相次いで行き詰まるかも知れない」とタクシー事業者や運転手の間では緊張感がかつてなく高まっている。


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