夕張市の鈴木直道市長とJR北海道の島田修社長は23日、石勝線夕張支線を2019年4月1日に廃止する覚書を交わした。JRは代替バスの購入や運行補助など20年間分、7億5000万円を支援金として拠出する。IMG_4145(写真は、2019年4月1日の廃線が決まった石勝線夕張支線)

 16年8月に2期目の鈴木市長は廃線をJR北海道に逆提案。座して廃線を待つのではなく、危機を好機と捉え持続可能な交通網を構築するチャンスに変えようとした。鉄路とともに刻んだマチの歴史を否定するかのような廃線を、首長自ら提案するのには相当の心労があったことだろう。

 市とJRは協議を重ね、辿り着いたのが代替バスの購入費や運行補助、JR所有の土地譲渡など6項目だった。鈴木市長がJRから6項目の合意を引き出した交渉力を評価するよりも、行政と住民、交通事業者が同じ目線で地域の将来を論じる場を作ったことを評価すべきだろう。

 責任の押し付け合いでは何も生まれないことを示したのが夕張モデルの肝(きも)ではないか。こうした合意形成の過程は地方創生の原点と言って良いかも知れない。北海道の各地域は札幌圏を除けば人口減少、高齢化が急ピッチで進んでいる。夕張支線の廃線合意は、持続可能な地域社会の未来づくりにどう向き合うべきなのかを問うている。


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