北海道新幹線の札幌延伸が遠のく一方だが、その最大のネックになっているのが財源問題。昨年末には財源として鉄道運輸機構の剰余金がクーローズアップされたが、その大半が年金財源に使われることになって白紙に。ところが、そうそう落胆ばかりしていてもしょうがない。地方負担軽減に繋がる新たな財源も見えている。
整備新幹線の未着工区間を含めた新たな財源として注目されていたのが、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道運輸機構)の特例剰余金。これは、国鉄清算事業団の剰余金を独立行政法人鉄道運輸機構が引き継いたもので、その額は1兆4500億円。
この剰余金を使って北海道新幹線札幌延伸を実現しようと、民主・自民の道内選出国会議員らは超党派で政府に働きかけていたが、結果的にその財源のうち1兆2000億円は一般財源として国庫返納されて年金に振り向けられることになった。年金財源という大義の前では、諦めざるを得ない。
そもそもは、この鉄道運輸機構に入る新幹線の貸付料などが剰余金として計上されていたのだが、それが埋蔵金と指摘されたものの使い道がハッキリ決まっていなかった。剰余金の存在さえ国交省は広くオープンなにしてこなかったために剰余金を整備新幹線の財源に使う、使わないという年末攻防を招いた訳だ。
今回、法案の成立が前提となるものの、新幹線貸付料などが原資となる鉄道運輸機構の特例業務勘定が整備新幹線の建設に充当できるようになる。特例業務勘定のうち既存新幹線の貸付料の範囲という限定条件が付いているものの、これまで使い道が曖昧だった鉄道運輸機構の剰余金を整備新幹線の建設費に充当できるようになった意味は大きい。
また、新幹線の新たな貸付料として昨年12月4日に開業した東北新幹線(八戸―新青森間)と今年3月さ12日に開業する九州新幹線(博多―新八代間)も入ることから、整備新幹線を建設するにあたっての地方負担を軽減できるようになるのも大きい。
北海道新幹線札幌延伸の着工は遠のいたものの、新たなソースが財源として利用できるようになるため、悲観一色になることもない。