道内航空網を担っているエアーニッポンネットワーク(A―net)と北海道エアシステム(HAC)の財務体質はどうなっているのか。2010年3月期のそれぞれの決算内容を調べた。
A―netは、道内路線のほかにも東京の離島路線や伊丹発着路線などを含めればANA国内線の10%を占めている。一方、HACは道内路線のみという違いがあるため単純比較は出来ないものの、一つの目安にはなるだろう。
A―netの資産は13億4900万円、HACは5億8000万円。資本金はA―netが5000万円に対してHACは4億9000万円。資産規模はA―netがHACの2・3倍なのに資本金はHACがA―netの9倍にもなっている。
利益剰余金はどうか。溜め込んだ利益の額、つまり内部留保金だが、A―netは2億400万円。同社は設立されて9期目の決算で年度によってばらつきはあるだろうが、平均すれば毎年2000万円強の利益を積み上げてきたことになる。当期純利益は900万円を計上している。
HACはどうか。同社は逆に1億9800万円の欠損金を抱える。資本金が大きいために債務超過にはなっていないが、A―net並みの資本金であれば完全に債務超過に陥っている。
当期純利益も6700万円の赤字だ。
A―netは前述したように道外路線も含んでいるため道内路線だけの収支は不明だが、拠点を丘珠空港から新千歳空港に移転集約した背景には、道内路線の採算が取れていないことがあったと思われる。
民間100%のA―netとJALが51%、道が49%それぞれ出資する半官半民のHACの業績の差は、決算を見るだけでも歴然としている。
JALの出資比率縮小に伴って新HACの体制が定まらない状況が続いているが、これまでのHACの経営数値は行政主体では企業として離陸できないことを表しているように見える。
いっそのこと民間市場にHAC運営を開放して引き受け手を全国公募した方が再生が近いのではないか。